医師が足りない診療科を抱える病院の事務長にとって、補助金は「どこに何があるか」より「いつ、誰に声をかければ間に合うか」のほうが切実です。医師確保に使える公的支援の多くは、国が直接病院に配るものではありません。都道府県の計画に載り、県の予算になって初めて病院に届きます。この記事では、地域医療介護総合確保基金(医療分)、医療法の医師確保の仕組み、令和6年12月の医師偏在対策パッケージで始まった新しい支援、へき地医療の補助を、「国→都道府県→市町村→病院」の流れで整理し、申請の時期と準備を示します。内容は2026年10月21日時点で一次資料を開いて確認したものです。
先に答え: 医師確保の補助は「県の事業計画に載っているか」で決まる
結論を先に書きます。病院が医師確保で使える公的支援の中心は、都道府県が持つ地域医療介護総合確保基金と、都道府県が実施する医師確保対策の事業です。どちらも、病院が国に直接申請する仕組みではありません。
地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(以下、医療介護総合確保法)第6条は、都道府県が都道府県計画に掲載した事業の経費に充てるため基金を設ける場合、国がその財源の3分の2を負担すると定めています(病床数の変更を伴う区分Ⅰ-2の事業は全額)。残り3分の1は都道府県の負担です。厚生労働省の資料でも、国と都道府県の負担割合は2/3と1/3、区分Ⅰ-2は国10/10と整理されています(第21回医療介護総合確保促進会議 資料1、令和7年3月3日)。
ここから事務長が押さえるべき点は2つです。
1つ目は、基金の対象になるのは「都道府県計画に掲載された事業」だけだという点です。県の計画に載っていないメニューは、どれほど自院に必要でも基金からは出ません。2つ目は、計画は原則1年単位で作られ、予算は前年度に組まれるという点です。厚生労働省の資料は、都道府県計画の基本的な記載事項として「目標と計画期間(原則1年間)」を挙げています(同資料)。翌年度に使いたい支援は、今年度のうちに県の担当課へ要望を伝えておかないと間に合いません。
国の層: 地域医療介護総合確保基金の区分Ⅳと区分Ⅵ
基金の事業区分
基金(医療分)には、次の事業区分があります(第21回医療介護総合確保促進会議 資料1)。
| 区分 | 内容 | 国の負担 |
|---|---|---|
| Ⅰ-1 | 地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設又は設備の整備 | 2/3 |
| Ⅰ-2 | 地域医療構想の達成に向けた病床の機能又は病床数の変更 | 10/10 |
| Ⅱ | 居宅等における医療の提供 | 2/3 |
| Ⅳ | 医療従事者の確保 | 2/3 |
| Ⅵ | 勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備 | 2/3 |
医師確保に直接関わるのは区分Ⅳです。医療介護総合確保法第4条第2項第2号ホが「医療従事者の確保に関する事業」を都道府県計画の事業として挙げており、これが区分Ⅳの根拠です。区分Ⅵは令和2年度から追加されたもので、医師の時間外労働の上限規制に対応する体制整備を対象にしています。
規模感を確認しておきます。令和7年度の地域医療介護総合確保基金(医療分)の内示額は、基金規模の合計で1,205.9億円でした。そのうち区分Ⅳは486.5億円で、区分の中で最も大きい枠です(厚生労働省「令和7年度 地域医療介護総合確保基金(医療分)内示額一覧」)。
ただし、この486.5億円は全国47都道府県の合計で、県ごとの差は大きく、看護職員の確保なども含みます。たとえば同じ一覧で、区分Ⅳの京都府の内示額は8.0億円、東京都は26.3億円です。自院の県でどんなメニューが組まれているかは、県が公表する都道府県計画(基金事業計画)を見るしかありません。
区分Ⅳで組まれやすい事業
区分Ⅳの具体的な事業は県ごとに異なりますが、厚生労働省の資料は、医師の偏在解消、医療機関の勤務環境改善、チーム医療の推進などを支援する区分と説明しています。病院側から見て関わりが深いのは、次のような事業です。
- 地域医療支援センターの運営(医師のキャリア形成支援と医師不足病院への配置調整)
- 医学生への修学資金の貸与(地域枠の医師の義務年限中の配置先として病院が関わる)
- 医師不足地域の医療機関への医師派遣の支援
- 院内保育所の運営、医師事務作業補助者の配置など勤務環境の改善
いずれも県が実施主体か、県の補助を経由して病院に届きます。たとえば千葉県の「医師少数区域等医師派遣促進事業」は、医師不足に起因する診療機能の低下が認められる県内の医師少数区域等の医療機関へ医師を派遣する医療機関を対象に、医師1人あたり月125万円を上限とする補助基準額を設け、負担割合を県3分の2、派遣先医療機関3分の1としています(千葉県ウェブサイト)。派遣を受ける病院にも3分の1の負担が残る点は、予算を組む際に見落とせません。
区分Ⅵ: 地域医療勤務環境改善体制整備事業
区分Ⅵの代表が「地域医療勤務環境改善体制整備事業」です。医師の労働時間短縮計画に基づく取組を総合的に実施する医療機関に対し、勤怠管理システムなどのICT機器、休憩室の整備、改善支援のアドバイス経費、短時間勤務要員の確保経費などを補助するものです(東京都保健医療局の事業案内)。
事務長が最初に確認すべきなのは、診療報酬の地域医療体制確保加算との関係です。東京都と北海道の事業案内は、いずれも地域医療体制確保加算を取得している医療機関は補助対象外と明記しています。加算と補助は二重取りできない設計で、自院が加算を算定しているなら、この事業は原則として使えません。逆に、救急搬送件数などの要件で加算に届かないが、地域で特別な役割を担い医師の長時間労働が残る病院が、この事業の主な対象です。
実績の例として、厚生労働省の資料に掲載された広島県の事業は総事業費1億4,523万6千円(計画期間の総額)で、対象医療機関のうち時間外労働が年960時間を超える医師が在籍する医療機関が、令和3年4月1日時点の4件から令和6年4月1日時点で0件になったと報告されています(第21回医療介護総合確保促進会議 資料1)。労働時間短縮計画の作り方は病院の医師労働時間短縮計画の作り方で整理しています。
都道府県の層: 医療法が定める医師確保の仕組み
医師確保計画と医師偏在指標
医療法第30条の4第2項第11号は、都道府県の医療計画に「医師の確保に関する事項」を定めるとしています。そこには、厚生労働省令で定める方法で算定した医師の数に関する指標(いわゆる医師偏在指標)を踏まえた、区域ごとに確保すべき医師の数の目標と、その達成に向けた「医師の派遣その他の医師の確保に関する施策」が含まれます。この部分が一般に「医師確保計画」と呼ばれます。
e-Govで2026年10月21日に取得した条文では、同号イに、二次医療圏等に加えて「重点的に医師の確保を図る必要がある区域として厚生労働大臣が定める基準を参酌して定める区域」(設定が必要な場合に限る)が書き込まれています。後で述べる重点医師偏在対策支援区域は、この規定とつながっています。
自院の所在する二次医療圏が医師少数区域か、医師多数区域かで、使える支援は大きく変わります。医師派遣や派遣元への支援の多くは医師少数区域や重点区域を対象にしているためです。まず県の医師確保計画で、自院の圏域の位置づけを確認してください。
地域医療対策協議会: 医師派遣はここで決まる
医療法第30条の23第1項は、都道府県が特定機能病院、地域医療支援病院、公的医療機関、臨床研修病院、大学、診療に関する学識経験者の団体などの関係者と協議の場(地域医療対策協議会)を設け、医師の確保に関する事項を協議し、協議が調った事項を公表しなければならないと定めています。協議事項には「医師の派遣に関する事項」が含まれます(同条第2項第2号)。
地域枠の医師や県の修学資金を受けた医師の配置先は、この協議会での協議を経て決まります。県の資料に載る派遣先として名前が出るかどうかは、協議会の場で自院の不足が認識されているかに左右されます。
関係者側の協力については、同条第4項が「協力するよう努めなければならない」と定めています。また第30条の27は、同条第1項各号に掲げる者(公的医療機関を除く)と医療従事者に対し、協議が調った事項の実施に協力するよう努めること、第30条の24により知事から協力を要請されたときは医師の確保に関し協力するよう努めることを求めています。いずれも努力義務で、罰則はありません。病院が派遣を求める立場であっても、派遣を出す立場になりうることは理解しておくべきです。
地域医療支援センター
医療法第30条の25第1項は、都道府県が協議の調った事項に基づき、医師確保の動向の調査分析、医療機関への相談・助言、医師のキャリア形成に関わる相談、派遣に関する調整などの事務を実施するよう努めるものとしています(努力義務)。この事務を担う組織が、各県の地域医療支援センターです。
同条第2項は、都道府県が医師について無料の職業紹介事業を行うこと、医業について労働者派遣事業の許可を受けて行うことができると定めています。医業の労働者派遣は原則として禁止されている業務ですが、ここは県が例外的に担える枠組みです(派遣規制の考え方は寄附講座で医師派遣を受ける自治体・病院の判断と契約で詳しく扱いました)。
事務長が最初に連絡すべき窓口は、補助金の担当課より先に、この地域医療支援センターであることが多いはずです。どの病院にどの診療科の医師が足りないかを県が把握する入口だからです。
令和6年の医師偏在対策パッケージ: 2026年度から本格実施
重点医師偏在対策支援区域
厚生労働省は令和6年12月25日に「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」を公表しました。今後も一定の定住人口が見込まれるが、人口減少より医療機関の減少スピードが速い地域などを「重点医師偏在対策支援区域」とし、優先的・重点的に対策を進めるという内容です。区域は、厚生労働省が示す候補区域を参考に、都道府県が地域医療対策協議会と保険者協議会で協議して選定します(市区町村単位・地区単位も可)。
候補区域は、①医師少数県の医師少数区域、②医師少数区域かつ可住地面積当たりの医師数が少ない二次医療圏(全国下位4分の1)、③各都道府県で医師偏在指標が最も低い二次医療圏、のいずれかです(厚生労働省「派遣元医療機関支援事業実施要綱」、東京都公表)。
たとえば愛知県は、東三河北部医療圏(新城市、東栄町、設楽町、豊根村)を重点区域とし、診療所の承継・開業・地域定着支援事業を2026年度から実施する方向で協議しました(愛知県 地域医療対策協議会 資料4)。高知県は高知市と南国市を除く県内全市町村を対象区域としています(高知県ウェブサイト)。
経済的インセンティブの中身と時期
パッケージは、都道府県の医師偏在是正プランの全体策定にあわせ、令和8年度(2026年度)から経済的インセンティブを本格実施するとしています。検討対象として挙げられたのは、次の支援です(同パッケージ)。
- 診療所の承継・開業・地域定着の支援(緊急的に先行して実施)
- 重点区域の一定の医療機関に派遣される医師・従事する医師への手当増額の支援
- 医師の勤務環境・生活環境の改善の支援
- 重点区域の医療機関に医師を派遣する派遣元医療機関への支援
手当増額の支援については、保険者からの負担を求め、診療報酬を代替するものとして給付費の中で一体的に捉えるとされています。財源の仕組みが基金とは異なる点に注意が必要です。
高知県の令和8年度事業では、①診療所の承継・開業支援、②派遣元医療機関支援、③土日の代替医師確保支援、④宿直室等の勤務・生活環境改善の施設整備、の4メニューが示され、申請期限は令和8年4月24日でした(高知県ウェブサイト)。
派遣元医療機関支援事業は「基金と併用できない」
病院の事務長にとって重要なのが、派遣元医療機関支援事業です。厚生労働省の実施要綱(東京都公表)は、事業の実施主体を、支援区域内の医療機関に医師を派遣する医療機関で、都道府県の地域医療対策協議会と保険者協議会で支援対象として合意を得たものの開設者としています。特定機能病院の開設者は対象外です。
補助の対象になるのは、令和7年度より派遣人数が増えた分で、増加は派遣先医療機関ごとに判断します。同一開設者間の派遣、宿日直のための派遣は対象外です。そして要綱の留意事項は、この事業の支援対象となる医療機関には、医師派遣にかかる費用について地域医療介護総合確保基金による支援はできないと明記しています。同じ派遣に、基金の派遣支援と派遣元支援を重ねることはできません。
金額の実例として、石川県の令和9年度実施分の意向調査では、能登北部医療圏を想定した支援区域への派遣について、医師派遣経費「61,000円×延日数」の4分の3を補助するとしています。意向調査の締切は令和8年9月4日でした(石川県ウェブサイト)。令和9年度に使う事業の調査が、前年の夏に締め切られている点に注目してください。
へき地医療拠点病院への支援
へき地を抱える地域では、へき地保健医療対策の枠組みも使えます。厚生労働省医政局長通知「へき地保健医療対策事業について」(平成13年5月16日医政発第529号)は、へき地医療拠点病院の事業として、巡回診療等によるへき地住民の医療確保、へき地診療所等への代診医等の派遣(継続的な医師派遣を含む)と技術指導・援助、派遣医師等の確保、へき地の医療従事者への研修、遠隔医療等の診療支援を挙げています。
指定の要件は、無医地区及び無医地区に準じる地区を対象に、巡回診療やへき地診療所等への医師派遣などの事業を実施した実績を有する、又は当該年度に実施できると認められる病院であることです(同通知)。県単位のへき地医療支援機構が代診医の派遣要請などの企画・調整を担います。
へき地医療拠点病院の運営に対する補助は、国と県の年度ごとの交付要綱に基づき、県を経由して行われます。今回確認できた国の通知(平成10年の国庫補助通知)には現行の事業名での記載が見当たらず、対象経費や基準額は年度で変わるため、金額はここでは示しません。県のへき地医療の担当課で、当該年度の交付要綱を確認してください。拠点病院の指定を受けると、医師を受け入れる側ではなく出す側としての役割が求められる点を、院内で共有しておく必要があります。
市町村の層: 単独事業と県事業の上乗せ
市町村の役割は、県や国とは性格が違います。医療介護総合確保法第5条の市町村計画が定める事業は、居宅等における医療の提供、介護施設の整備などで、医療従事者の確保(第4条第2項第2号ホ)は都道府県計画の事業です。したがって、市町村が医師確保に関わるのは、主に自治体の単独予算による事業です。
単独事業の典型は、大学への寄附講座の設置、医師住宅の整備、市町村立病院への繰出しなどです。寄附講座の性格や議会への説明の仕方は前掲の記事で扱いました。民間病院の場合、市町村の単独事業は対象になりにくいため、所在地の市町村が独自の医師確保支援を持っているかを企画課や健康福祉部局に確認しておく程度でよいでしょう。
申請の流れと時期: 前年度の夏が勝負
ここまでの支援は、ほぼすべて「前年度に県の予算と計画に載る」ことが前提です。愛知県の資料に載ったスケジュール案は、8月に地域医療対策協議会で重点区域を協議し、9月に区域内の診療所へ意向調査を行って翌年度当初予算の要求に反映し、2026年度4月以降に公募を開始する、という流れでした(愛知県 地域医療対策協議会 資料4)。千葉県の医師派遣促進事業も、令和9年度の活用に関する意向調査の提出期限を令和8年7月16日としています(千葉県ウェブサイト)。
一般化すると、次の順番になります。
- 4〜6月: 県の医師確保計画と都道府県計画(基金事業計画)を読み、自院の圏域の位置づけと既存メニューを確認する
- 6〜9月: 県の意向調査に回答する。調査が来ない場合は、地域医療支援センターと担当課に不足の実態を伝える
- 9〜12月: 県が翌年度の予算を要求する。基金の事業は国の内示を経て確定する
- 2〜3月: 県議会で予算が成立する
- 4月以降: 県の公募・交付申請。事業実施後に実績報告
意向調査は、回答した病院の数と必要額をもとに県が予算を見積もるためのものです。調査に答えていない病院は、翌年度の予算に織り込まれていない可能性があります。
申請前に整えておく資料
県の担当者や協議会に自院の不足を説明するとき、数字が揃っているかどうかで扱いが変わります。準備しておくべき資料は次の通りです。
| 資料 | 使いどころ |
|---|---|
| 診療科別の常勤・非常勤医師数(常勤換算)と3年分の推移 | 不足の実態の説明、派遣人数の増加の判定 |
| 外部からの派遣の受入状況(派遣元・日数・形態) | 派遣元支援事業の対象判定(前年度比の増加分) |
| 医師の時間外労働の実績と労働時間短縮計画 | 区分Ⅵの申請、勤務環境改善の説明 |
| 地域医療体制確保加算の算定状況 | 区分Ⅵの対象外判定 |
| 救急搬送件数、休日夜間の受入実績 | 地域で果たす役割の説明 |
| 採用活動の費用と結果(紹介手数料を含む) | 自力で確保できない根拠の説明 |
最後の項目は意外に効きます。紹介会社や広告にいくら使い、何人採れたかを示すと、補助が必要な理由が説得力を持ちます。採用コストの構造は医師採用のコスト構造で整理しています。
また、補助で来てもらった医師が定着しなければ、補助が終わった時点で元に戻ります。派遣医師や地域枠の医師が働きやすい環境を作ることは、補助金の申請と同じくらい重要です。定着の考え方は病院の医師定着率を上げる方法を参照してください。
義務と努力義務の整理
制度の文言は、交渉の場で効きます。ここまで出てきた条文を、誰に何が課されているかで整理しておきます。
| 条文 | 主体 | 内容 | 性格 |
|---|---|---|---|
| 医療介護総合確保法 第6条 | 国 | 基金の財源の3分の2を負担 | 義務(「負担するものとする」) |
| 医療法 第30条の23第1項 | 都道府県 | 地域医療対策協議会の設置・協議・公表 | 義務 |
| 医療法 第30条の23第4項 | 医療機関等 | 協議への参画の求めに協力 | 努力義務 |
| 医療法 第30条の25第1項 | 都道府県 | 地域医療支援事務の実施 | 努力義務 |
| 医療法 第30条の19 | 病院の管理者 | 勤務環境の改善その他医療従事者の確保に資する措置 | 努力義務 |
| 医療法 第30条の27 | 医療機関・医療従事者 | 協議が調った事項の実施等への協力 | 努力義務 |
医療法第30条の19は、病院又は診療所の管理者が、勤務する医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるよう努めなければならないと定めています。努力義務ではありますが、補助を求める病院が自ら勤務環境の改善に取り組んでいることは、県の評価でも前提として見られます。
一方、基金の都道府県計画そのものは、第4条第1項で「作成することができる」とされています。都道府県計画の作成は義務ではありませんが、基金を使うには計画への掲載が要件になります。
よくある誤解
「国の補助金だから国に申請する」: 基金も派遣元支援も、病院の申請先は都道府県です。国は県に交付し、県が病院に交付します。
「基金と派遣元支援は両方もらえる」: 派遣元医療機関支援事業の要綱は、同事業の支援対象となる医療機関の医師派遣費用について、基金による支援はできないとしています。
「加算を取っていても勤務環境改善の補助は受けられる」: 地域医療勤務環境改善体制整備事業は、地域医療体制確保加算を取得している医療機関を対象外としています(東京都・北海道の事業案内)。
「公募が出てから準備すればよい」: 公募が出る時点で予算額は決まっています。前年度夏の意向調査に答えていなければ、枠が自院を想定していない可能性があります。
まとめ: 次の一歩は県の計画を読むことから
病院が使える医師確保の公的支援は、国の基金(区分Ⅳ・Ⅵ)、医療法の医師確保計画と地域医療対策協議会、2026年度から本格化した重点医師偏在対策支援区域の経済的インセンティブ、へき地医療拠点病院の補助、市町村の単独事業に分かれます。共通するのは、病院に届く窓口が都道府県であり、前年度に県の計画と予算に載っていることが前提だという点です。
今月できることは3つです。県の医師確保計画で自院の圏域が医師少数区域か重点区域かを確認すること。県の都道府県計画(基金事業計画)で区分Ⅳ・Ⅵのメニューと補助率を確認すること。地域医療支援センターに、診療科別の不足を数字で伝えることです。
参考資料
- 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律 第4条〜第6条(e-Gov法令検索、2026年10月21日取得)
- 医療法 第30条の4、第30条の19、第30条の23、第30条の25、第30条の27(e-Gov法令検索、2026年10月21日取得)
- 厚生労働省「地域医療介護総合確保基金の執行状況、令和5年度交付状況等及び令和6年度内示状況について(報告)」第21回医療介護総合確保促進会議 資料1(令和7年3月3日)
- 厚生労働省「令和7年度 地域医療介護総合確保基金(医療分)内示額一覧」
- 厚生労働省「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」(令和6年12月25日)
- 厚生労働省「重点医師偏在対策支援区域の医療機関に医師を派遣する派遣元医療機関支援事業実施要綱」(東京都保健医療局公表)
- 厚生労働省医政局長通知「へき地保健医療対策事業について」(平成13年5月16日医政発第529号)
- 愛知県 地域医療対策協議会 資料4「重点医師偏在対策区域の設定及び承継・開業する診療所への支援について」
- 千葉県「医師少数区域等医師派遣促進事業について」、石川県「派遣元医療機関支援事業(令和9年度実施分)に係る活用意向調査」、高知県「令和8年度 重点医師偏在対策支援区域における経済的インセンティブ事業」
- 東京都保健医療局「地域医療勤務環境改善体制整備事業」、北海道「令和7年度 地域医療勤務環境改善体制整備等事業」
