診察室で患者に胸ぐらをつかまれた。病棟で家族に「殺すぞ」と言われた。夜間救急で酔った患者に殴られ、眼鏡が割れた。こうした出来事のあと、多くの医師は「相手は病人だから」「騒ぎにしたくない」と考え、そのまま次の患者を診ます。ところが数週間たってから眠れなくなったり、同じ患者の名前を見るだけで動悸がしたりして、ようやく「あのとき何か手続きをしておけばよかった」と気づくことがあります。

この記事では、患者や家族から暴力・暴言を受けた勤務医が取れる手段を、刑事・労災・病院への請求の3つの線に分けて整理します。条文は2026年10月時点でe-Gov法令APIから取得した現行条文、労災の認定基準は厚生労働省の通知本文で確認しています。個別事案の見通しを示すものではなく、どの手続きにどんな意味があるかを並べた記事です。

図1: 患者・家族からの暴力・暴言に対して医師が取れる3つの線(刑事・労災・病院)(概念図)

結論: 3つの線は別々に動く。最初の数日で記録を残す

先に要点をまとめます。

  • 刑事の線: 警察に「被害届」を出すか、「告訴」をするか。告訴は刑事訴訟法230条にもとづく処罰を求める意思表示で、241条により書面または口頭で検察官か司法警察員に行います。被害届は、犯罪の被害を申告する届出です。
  • 労災の線: 暴行でけがをしたら業務上の負傷として、精神障害を発病したら「心理的負荷による精神障害の認定基準」にもとづいて、労災保険の請求ができます。2023年9月の改正で、患者などからの「著しい迷惑行為」が評価項目に入りました。
  • 病院の線: 病院には労働契約法5条の安全配慮義務があり、2026年10月1日からは労働施策総合推進法33条1項にもとづくカスタマーハラスメント対策の措置義務もあります。

3つの線は互いに独立しています。警察に届けなくても労災は請求できますし、労災を請求しても病院に対策を求めることはできます。逆に、どの線でも最初に効いてくるのは「いつ、誰が、何をしたか」の記録です。手続きを選ぶのは後でもかまいませんが、記録だけは当日から残してください。

刑事の線: 被害届と告訴は何が違うか

被害届は「被害を知らせる」届出

被害届について、刑事訴訟法には定めがありません。根拠は警察の内部規範である犯罪捜査規範(国家公安委員会規則)で、61条1項は「警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない」と定めています。同条2項により、口頭で届け出た場合は被害届の様式に記入を求めるか、警察官が代書します。

被害届は、犯罪があったことを捜査機関に知らせる手続きです。届け出た人に、相手の処罰を求める意思表示までは含まれません。

告訴は「処罰を求める」意思表示

告訴は刑事訴訟法に規定があります。230条は「犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる」と定め、241条1項は「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない」としています。口頭で受けた場合、検察官または司法警察員は調書を作らなければなりません(241条2項)。

告訴をすると、手続き上の効果がいくつか生じます。

  • 司法警察員は、告訴を受けたら速やかに関係書類と証拠物を検察官に送付しなければならない(242条)
  • 検察官は、起訴したか、しなかったかを速やかに告訴人に通知しなければならない(260条)
  • 不起訴にした場合、告訴人から請求があれば、その理由を告げなければならない(261条)

つまり告訴をすると、結果が告訴人に返ってくる仕組みがあります。犯罪捜査規範63条1項も、司法警察員たる警察官は告訴をする者があったときは、管轄区域内の事件かどうかを問わずこれを受理しなければならないと定めています。

なお、刑事訴訟法239条1項は「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」と定めています。被害者本人以外、たとえば病院が告発をすることも条文上は可能です。

図2: 被害届と告訴の違い。根拠・意思表示の内容・受理後の手続き・結果の通知を比較(概念図)

どの罪にあたり得るか: 暴行・傷害・脅迫・侮辱

患者や家族の行為がどの罪にあたり得るかは、警察と検察が判断します。ここでは、医療現場で起こりやすい行為と条文の対応だけを示します。法定刑は、2025年6月1日施行の拘禁刑への一本化後の現行条文です。

罪条文構成要件の要旨法定刑
傷害刑法204条人の身体を傷害した15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
暴行刑法208条暴行を加え、傷害に至らなかった2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
脅迫刑法222条生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告知して脅迫した(親族への害悪の告知も同様)2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金
侮辱刑法231条事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
威力業務妨害刑法234条威力を用いて人の業務を妨害した233条の例による(3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)

殴る、蹴る、突き飛ばす、物を投げつけるといった行為は、けががなければ暴行罪、けががあれば傷害罪の問題になり得ます。「殺すぞ」「家族がどうなっても知らないぞ」といった言葉は、害悪の告知として脅迫罪の問題になり得ます。222条2項は親族への害悪の告知も対象にしているため、「子どもの学校を知っている」といった言い方も検討の対象になり得ます。

暴言のうち、脅しを含まない罵倒は扱いが変わります。侮辱罪は「公然と」が要件なので、診察室で二人きりのときの罵倒は対象にならない可能性があります。一方、待合室や病棟の廊下など、ほかの患者やスタッフがいる場での罵倒は検討の対象になり得ます。大声や居座りで診療を止めた場合は、威力業務妨害の問題になり得ます。

侮辱罪は親告罪。告訴に期限がある

ここで注意が必要なのが、侮辱罪です。刑法232条1項は、侮辱罪を含む名誉に対する罪の章について「告訴がなければ公訴を提起することができない」と定めています。いわゆる親告罪です。そして刑事訴訟法235条は、親告罪の告訴は「犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない」としています。

暴行・傷害・脅迫は親告罪ではないので、被害届だけでも捜査は始まり得ます。一方、侮辱を問題にするなら、被害届ではなく告訴が必要で、期限は6か月です。患者の氏名は通常カルテでわかるため、「犯人を知つた日」は出来事の当日と考えておくのが安全です。

公訴時効の目安

刑事訴訟法250条2項は、人を死亡させた罪以外の公訴時効を法定刑の上限で区分しています。ここから計算すると、目安は次のとおりです。

  • 傷害(長期15年): 長期15年以上の拘禁刑にあたる罪として10年
  • 暴行・脅迫(長期2年)、威力業務妨害(長期3年)、侮辱(長期1年): 長期5年未満の拘禁刑にあたる罪として3年

暴行罪と侮辱罪には拘留・科料も定められていますが、刑事訴訟法251条により、二以上の主刑のうち一つを科すべき罪は重い刑に従って250条を適用します。そのため拘留・科料の1年(250条2項7号)ではなく、拘禁刑を基準に3年となります。時効は犯罪行為が終わった時から進行する(253条1項)ため、同じ患者から繰り返し被害を受けている場合は、出来事ごとに日付を分けて記録しておくと、どの行為がいつまで対象になるかを整理しやすくなります。

図3: 罪ごとの法定刑の上限、親告罪かどうか、告訴期限と公訴時効の目安(条文から計算)

時効まで余裕があるように見えても、時間がたつほど目撃者の記憶は薄れ、防犯カメラの映像は上書きされます。届けるかどうか迷っている段階でも、証拠の保全だけは先に進めてください。

応招義務との関係

「医師には応招義務があるから、暴力をふるった患者でも診なければならない」と考える医師は少なくありません。厚生労働省の2019年12月25日付通知「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」は、診療・療養等において生じた迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合には、新たな診療を行わないことが正当化されるとしています。ただし緊急対応が必要な場合の扱いは別に整理されています。詳しくは応招義務と診療拒否の線引きを参照してください。

労災の線: けがと精神障害の両方が対象になり得る

身体のけが

勤務中に患者から暴行を受けてけがをした場合、業務上の負傷として労災保険の療養補償給付や休業補償給付の対象になり得ます。院内で受けた治療を健康保険で処理してしまうと後から切り替える手間が生じるため、受診時に「業務中のけが」であることを伝えてください。針刺し事故のときと同じ考え方で、針刺し事故と労災申請でも手続きの流れを扱っています。

加害者がいる場合は、労災保険法12条の4が関係します。政府は保険給付をしたとき、その価額の限度で被災者が加害者に対して持つ損害賠償請求権を取得し(1項)、被災者が加害者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度で保険給付をしないことができます(2項)。患者側と示談をする場合、示談の内容が労災の給付に影響し得るため、示談書に署名する前に労働基準監督署に相談しておくことをすすめます。

特に注意したいのは、示談書によくある「今後一切の請求をしない」という条項です。厚生労働省のパンフレット「第三者行為災害のしおり」は、被災者と第三者の間で全ての損害賠償についての示談(全部示談)が真正に成立し、示談内容以外の請求権を放棄した場合、政府は原則として示談成立以後の労災保険給付を行わないと説明しています。不用意な示談で給付を受けられなくなったり、すでに受け取った給付を回収されたりする場合があるとも注意しています。示談の前に労働局か労働基準監督署に連絡し、治療費や休業分を別に労災へ請求する予定があるなら、その旨を示談書に明示しておくことが勧められています。また、第三者の行為による災害で給付を受ける場合、労災保険法施行規則22条により、その事実、第三者の氏名・住所、被害の状況を遅滞なく所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります(第三者行為災害届)。患者が加害者であれば、この届出が求められる場面です。

精神障害: 2023年改正で「著しい迷惑行為」が入った

暴力や暴言のあと、不眠や抑うつ、強い不安が続くことがあります。業務による精神障害の労災認定は、厚生労働省労働基準局長の通知「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令和5年9月1日 基発0901第2号)にもとづいて判断されます。

認定要件は次の3つで、いずれも満たす必要があります。

  1. 対象疾病を発病していること
  2. 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外の心理的負荷および個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと

2つめの要件は、別表1「業務による心理的負荷評価表」の具体的出来事ごとに「強」「中」「弱」で評価します。この改正で追加されたのが、具体的出来事27「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」です。評価表の注は、著しい迷惑行為を「暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等」としています。医療機関であれば、患者や家族がこの「顧客等」にあたり得ます。

評価表は、総合評価が「強」になる例として次のものを挙げています。

  • 顧客等から、治療を要する程度の暴行等を受けた
  • 顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた
  • 顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた
  • 威圧的な言動など社会通念上許容される範囲を超える著しい迷惑行為を、反復・継続するなどして執拗に受けた
  • 「中」程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても、または会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった

一方、「中」である例には、次の3つが挙がっています。

  • 顧客等から治療を要さない程度の暴行を受け、行為が反復・継続していない
  • 顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を受け、行為が反復・継続していない
  • 顧客等から、威圧的な言動など社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為を受け、行為が反復・継続していない

「弱」になる例は「中」に至らない程度の言動を受けた場合です。評価にあたって考慮する視点として、評価表は迷惑行為に至る経緯や状況、行為の内容・程度、反復・継続など執拗性の状況、その後の業務への支障、会社の対応の有無と改善の状況を挙げています。記録に残すべき項目は、ほぼこの視点と重なります。

図4: 認定基準の具体的出来事27「著しい迷惑行為」で、総合評価が中・強になる例(通知本文より)

この表から読み取れる実務上のポイントは2つあります。

1つめは、1回の出来事でも「強」になり得ることです。治療を要する程度の暴行は、反復・継続していなくても「強」の例に入っています。また認定基準は、「執拗」について、一度の言動でも比較的長時間に及び、行為態様が強烈で悪質性を有する等の状況があれば「執拗」と評価すべき場合があるとしています。

2つめは、病院に相談したかどうかが評価に入ることです。「中」程度の迷惑行為でも、相談したのに適切な対応がなく改善されなかった場合は「強」の例に入ります。逆に言えば、相談した記録がなければ、この評価の材料が残りません。上司や院内の相談窓口に、日付の残る方法(メールや相談票)で伝えておくことは、労災の観点からも意味があります。

請求の期限

労災保険法42条1項により、療養補償給付と休業補償給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年で時効により消滅します。障害補償給付と遺族補償給付は5年です。休業補償給付は日ごとに権利が発生するため、休み始めてから時間がたつほど、古い日の分から請求できなくなっていきます。休職を考える段階になったら、メンタル不調で休職するときの手順もあわせて確認してください。

病院の線: 安全配慮義務とカスハラ措置義務

労働契約法5条の安全配慮義務

労働契約法5条は「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定めています。勤務医も病院との労働契約にもとづく労働者なので、病院はこの配慮をする立場にあります。

条文は具体的な措置を列挙していません。何をすれば足りるかは、予見できた危険の内容と、病院が取れた対策によって個別に判断されます。同じ患者による暴力が以前にも報告されていたのに、担当替えも同席者の配置もしなかった、といった事情は、検討の材料になり得ます。

2026年10月1日からのカスハラ措置義務

令和7年法律第63号による改正後の労働施策総合推進法33条1項は、事業主に対し、顧客等の言動で、労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの(顧客等言動)により就業環境が害されることのないよう、相談に応じて適切に対応するための体制の整備、抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置を「講じなければならない」と定めています。顧客等の定義には「施設の利用者」が含まれ、患者や家族はこれにあたり得ます。e-Gov法令APIの改正履歴では、この改正の施行日は2026年10月1日です。

同条2項は、労働者が相談したことや、相談への対応に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁止しています。つまり、患者からの暴力を院内で相談したことを理由に、評価を下げたり配置で不利に扱ったりすることは、条文上禁止されています。

措置義務の具体的な内容、病院が対応していない場合の相談先、指針の読み方は患者カスハラは病院の義務にで詳しく扱っています。

図5: 病院に求められる義務の整理。労働契約法5条の安全配慮義務と労働施策総合推進法33条の措置義務・不利益取扱い禁止(概念図)

病院に求めることを具体的にする

安全配慮義務もカスハラ措置義務も、医師個人が病院に何かを要求する場面では「具体的に何をしてほしいか」を示したほうが話が進みます。たとえば次のような項目です。

  • 当該患者の担当を外す、または複数人で対応する体制にする
  • 診察時に職員の同席や、警備員の待機を手配する
  • 院内の暴力対応手順に沿って、記録と警察への連絡を病院として行う
  • 被害届や告訴をする場合に、勤務時間内の対応や防犯カメラ映像の保全に協力する
  • 産業医面談や受診の機会を確保する

当日から2週間でやること

最後に、出来事の直後から順に取れる行動を整理します。

  1. 安全を確保し、けががあれば受診する。業務中の負傷であることを伝え、診断書を取る
  2. 記録を作る。日時、場所、相手(患者・家族の別)、言動の内容(できるだけ原文)、目撃者、けがの状況を、その日のうちに書き出す。写真があれば残す
  3. 防犯カメラ映像の保全を依頼する。保存期間が短い場合があるため、上司や総務に日付の残る方法で依頼する
  4. 院内に相談する。上司と相談窓口に、メールなど記録の残る方法で伝える。労災の評価でも、病院の措置義務の確認でも、この記録が起点になる
  5. 警察への届出を検討する。被害届か告訴かを決める。侮辱を問題にするなら告訴が必要で、期限は犯人を知った日から6か月
  6. 心身の変化を観察する。不眠や抑うつが続く場合は受診し、業務との関係を医師に伝える。労災請求の時効は療養・休業で2年

図6: 出来事の当日から2週間で取る行動の時系列(記録・受診・院内相談・警察・労災)(概念図)

判断に迷う点

いくつか、条文だけでは決まらない点があります。

  • 相手が認知症やせん妄の患者だった場合: 刑事責任の有無は捜査機関と裁判所が判断します。ただ、労災の評価や病院の安全配慮義務の検討は、相手の責任能力とは別に進められます。刑事の線が難しそうでも、労災と病院の線は残ります。
  • 被害届を出すか告訴まで進むか: 告訴をすると、起訴・不起訴の通知を受けられる一方、取り下げの判断を迫られる場面も出てきます。刑事訴訟法237条1項は、告訴は公訴の提起があるまでこれを取り消すことができると定めています。同条2項により、取り消した人は同じ事件について再び告訴することはできません。取消が決定的な意味を持つのは侮辱罪のような親告罪で、告訴がなければ公訴を提起できないため、取消によって起訴の道が閉ざされます。暴行・傷害・脅迫は親告罪ではないため、告訴を取り消しても起訴できなくなるわけではありませんが、被害者の意向として処分の判断に考慮される可能性はあります。示談の条件として告訴の取消を求められた場合は、この点を踏まえて判断してください。迷う場合は、まず被害届を出し、記録を警察に残しておく方法もあります。
  • 民事の損害賠償: 加害者本人への請求も、病院への安全配慮義務違反の請求も、刑事・労災とは別の手続きです。労災の給付との調整(労災保険法12条の4)があるため、弁護士に相談する際は労災の請求状況も伝えてください。

まとめ

  • 被害届は犯罪捜査規範61条にもとづく被害の届出、告訴は刑事訴訟法230条・241条にもとづく処罰を求める意思表示。告訴をすると、起訴・不起訴の通知と、請求すれば不起訴理由の告知を受けられる(260条・261条)
  • 暴行(刑法208条)、傷害(204条)、脅迫(222条)は親告罪ではない。侮辱(231条)は親告罪で、告訴は犯人を知った日から6か月以内(刑訴法235条)
  • 精神障害の労災認定基準(令和5年9月)では、患者などからの「著しい迷惑行為」が具体的出来事27として評価される。治療を要する暴行は1回でも「強」の例に入り、病院に相談しても改善されなかったことも「強」の要素になる
  • 病院には労働契約法5条の安全配慮義務があり、2026年10月1日からは労働施策総合推進法33条1項のカスハラ措置義務と、相談を理由とする不利益取扱いの禁止(同条2項)が加わった
  • どの線を選ぶにしても、当日の記録と院内への相談記録が起点になる

本記事は法令と行政通知に基づく制度の整理であり、個別事案についての法的助言ではありません。刑事手続きや損害賠償の見通しは弁護士に、労災の請求は労働基準監督署に相談してください。

参考資料

  • 刑事訴訟法 230条・235条・237条・239条・241条・242条・250条・260条・261条(e-Gov法令API)
  • 刑法 204条・208条・222条・231条・232条・234条(e-Gov法令API)
  • 犯罪捜査規範 61条・63条(e-Gov法令API)
  • 労働者災害補償保険法 12条の4・42条(e-Gov法令API)、同法施行規則22条
  • 厚生労働省「第三者行為災害のしおり」(労災保険給付と示談の注意)
  • 労働契約法 5条(e-Gov法令API)
  • 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 33条(e-Gov法令API、令和7年法律第63号による改正後)
  • 厚生労働省「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(令和5年9月1日 基発0901第2号)および報道発表「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」
  • 厚生労働省「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について」(令和元年12月25日 医政発1225第4号)