常勤医1名の募集を半年出し続けて、問い合わせが2件、面談まで進んだのが0件。こうした状況に直面したとき、原因を求人票の表現や紹介会社の担当者の熱意に求めても、多くの場合は改善しません。募集条件が、そもそも日本のどこにも存在しない医師像を指していることがあるからです。この記事では、厚生労働省の統計で医師が「どこに、何歳で、何科として、何人いるか」を確認し、その分布に自院の提示条件を重ねて、どこで母集団が消えているかを診断する手順を整理します。

応募が来ない最大の要因は、母集団の外側に条件を置いていること

結論を先に述べます。「クリニックの常勤医1名」という募集は、統計上もっとも薄い層を狙う募集です。令和6(2024)年12月31日現在、医療施設に従事する医師は33万1,092人います。その内訳は病院が21万9,393人、診療所が11万1,699人ですが、診療所の11万人のうち7万46人は開設者または法人の代表者であり、雇われて働く「診療所の勤務医」は4万1,653人しかいません(厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」)。医療施設従事医師全体に占める比率は12.6%です。

図1: 医療施設に従事する医師33万1,092人の内訳。病院(医育機関附属を除く)16万1,113人、診療所の開設者・法人代表者7万46人、医育機関附属の病院5万8,280人、診療所の勤務医4万1,653人を横棒で比較した図

この4万1,653人は「今クリニックに常勤で勤めている医師」の総数であり、転職を検討している人数ではありません。そのうえで自院の募集条件が年齢・診療科・地域・待遇の各軸で母集団を絞り込んでいくと、条件を全部満たす医師が全国で数十人という水準まで落ちることが起こります。応募が来ないという現象は、多くの場合ここで説明がつきます。

診断の手順は単純です。第一に、施設と雇用形態でどの層を狙っているのかを確定します。第二に、年齢の条件がその層のどこに当たるかを確認します。第三に、診療科の母集団の大きさを見ます。第四に、地域の医師密度を見ます。最後に、提示している年収・時間帯・当直の条件を、その層の相場に照らします。以下ではこの5段を順に見ていきます。

年齢で見ると、診療所で働く医師の中心は60代

年齢階級別に医療施設従事医師33万1,092人を見ると、最多は30〜39歳の6万7,729人(20.5%)、次いで50〜59歳6万5,939人(19.9%)、40〜49歳6万5,264人(19.7%)と、40代までに厚みがあります。ところが施設の種別で分けると分布はまったく別の形になります。

診療所に従事する11万1,699人の内訳は、60〜69歳が3万1,845人(28.5%)で最多、50〜59歳2万7,109人(24.3%)、70歳以上2万6,614人(23.8%)、40〜49歳1万8,478人(16.5%)と続き、30〜39歳は7,221人(6.5%)、29歳以下は432人(0.4%)にとどまります。40歳未満は合計7,653人、診療所従事医師の6.9%です。平均年齢は診療所が60.1歳、病院(医育機関附属を除く)が47.9歳、医育機関附属の病院が39.7歳となっています。

図2: 年齢階級別にみた病院と診療所の医師数をグループ棒で比較した図。病院は30〜39歳が6万508人で最多、診療所は60〜69歳が3万1,845人で最多という逆転した分布を示す

この分布は、医師のキャリアの合理的な選択の結果として読めます。専門医資格の取得や症例の確保が必要な時期に病院に所属し、その後に診療所へ移る、あるいは自ら開業するという流れが、統計上の山の位置として現れています。したがって「30代から40代前半で、常勤で、クリニックに」という条件は、医師側が積極的に選びにくい時期を指していることになります。この条件で応募が来ないのは、募集の出し方の問題である前に、母集団が7,653人しかいないという事実の問題です。

逆に言えば、60代以上の層は診療所に5万8,459人(60〜69歳と70歳以上の合計)が実際に従事しており、常勤採用を狙うならここが最も分厚い層になります。定年で病院を離れた医師を常勤または週3〜4日の準常勤で迎えるという設計は、統計上もっとも成功率の高い方向です。

診療科の母集団は5倍以上の差がある

次に診療科です。主たる診療科別に医療施設従事医師を見ると、内科が6万2,161人(18.8%)で最多、以下整形外科2万2,630人(6.8%)、小児科1万8,009人(5.4%)、精神科1万7,259人(5.2%)、消化器内科1万6,251人、循環器内科1万3,596人、眼科1万3,436人、外科1万2,341人、産婦人科1万1,188人、皮膚科1万43人という順になります。

診療所に絞り、複数回答で従事する診療科を見ると、内科5万5,475人(診療所従事医師の49.7%)、小児科1万4,911人(13.3%)、消化器内科1万4,794人(13.2%)、皮膚科1万248人(9.2%)、整形外科1万233人(9.2%)、循環器内科9,766人、眼科8,729人、外科8,298人、リハビリテーション科7,451人、呼吸器内科6,279人、精神科6,203人という分布です。

図3: 診療所に従事する医師の診療科別内訳(複数回答)。内科5万5,475人からアレルギー科5,825人まで、上位12科の実数を多い順に横棒で並べた図

同じ「常勤1名、年収1,500万円」という条件でも、内科であれば5万5,475人を相手にしている一方、皮膚科なら1万248人、眼科なら8,729人が対象です。母集団が5分の1であれば、同じ反応率でも応募数は5分の1になります。科によって条件を変えずに同じ待遇表を使い回している場合、薄い科で応募が止まるのは当然の結果です。

母集団が小さい科では、条件を市場に合わせる以外に、募集の単位を小さくするという手があります。週1日の外来枠を非常勤で埋める設計に切り替えると、常勤を求める必要がなくなり、病院に所属したままの医師や開業医が副業として応じられる余地が生まれます。

診療科の年齢構成にも差があります。主たる診療科別の平均年齢は、肛門外科が60.5歳で最も高く、内科59.3歳、心療内科58.0歳、婦人科56.1歳と続きます。低いほうは臨床研修医を除くと美容外科が41.2歳、次いで救急科41.9歳、形成外科44.3歳です。若手が相対的に多い科と、開業医を中心に高齢層が厚い科では、同じ「40代の常勤医」という条件でも到達可能性が違います。自院の科の平均年齢が50代後半であれば、40代を指定した募集は分布の左裾を狙う設計になっているということです。

自院の条件で母集団を書き出してみる

診断を数字にするには、掛け算で概算するのが早いです。ここで注意が必要なのは、全国の実数に人口10万対医師数の比(埼玉189.1÷全国267.4=0.71)を掛けても県の規模にはならないことです。人口10万対の数値は密度であり、県の規模を出すには県の人口を掛ける必要があります。

たとえば「内科、40代、常勤、当直なし、年収1,300万円、埼玉県内」という条件なら、次の3段で概算します。第一段は県内の医療施設従事医師数です。埼玉県の人口10万対医療施設従事医師数189.1に、令和6年10月1日現在の埼玉県人口733万2,000人(総務省「人口推計」第2表)を掛けると、189.1÷10万×733万2,000人=約1万3,865人になります。第二段は診療所の内科というくくりの比率です。診療所で内科に従事する医師は全国5万5,475人で、医療施設従事医師33万1,092人に対して16.8%です。1万3,865人×16.8%=約2,329人。第三段は年齢です。診療所従事医師のうち40〜49歳は16.5%ですから、2,329人×16.5%=約384人。県内で内科・40代・診療所という層は、数百人規模という桁に着地します。

この384人は、複数科を重複計上した比率をそのまま使っているうえ、県内の診療所勤務医と開設者を分けていないため、実際の勤務医層はこれより小さくなります。そこから転職を検討中の人に絞り、当直なしという条件を受け入れる層に絞れば、実際に到達しうるのは二桁です。年収1,300万円という提示は、40〜44歳の相場約1,367万円をわずかに下回ります。

この試算は精緻な推計ではなく、桁を確認するための作業です。それでも「全国に何万人いるから大丈夫」という感覚と、「県内で二桁」という現実の差を可視化する効果があります。桁が二桁だと分かれば、打ち手は求人票の文言ではなく、条件のどれかを動かすことだと判断できます。

地域の医師密度は県で1.8倍、二次医療圏では6倍の差

人口10万人あたりの医療施設従事医師数は全国で267.4です。都道府県別では徳島県が345.4で最多、長崎県333.8、京都府333.2が続き、少ないほうは埼玉県189.1、茨城県198.1、千葉県213.3となっています。上位と下位で1.8倍の差があります。

図4: 人口10万人あたりの医療施設従事医師数。徳島345.4・長崎333.8・京都333.2・全国267.4・千葉213.3・茨城198.1・埼玉189.1を棒グラフで比較した図

さらに細かい単位で見ると差は開きます。厚生労働省が令和8年4月に公表した二次医療圏別の医師偏在指標は、全国266.8に対し、東京都区中央部が772.4、区西部が554.8で、低いほうは静岡県賀茂122.9、北海道根室124.5です。上位と下位で6倍を超えます。医師偏在指標は単純な人口比ではなく、性・年齢階級別の平均労働時間で標準化した医師数を、地域の受療率比で調整した人口で割った値であり、地域の医療需要に対する医師の相対的な多寡を表す指標です。

自院の所在地がこの指標のどこに位置するかは、募集の難易度を規定します。指標の低い区域で「都市部と同じ条件」を提示していれば応募は来ません。反対に、指標の低い区域には制度上の後押しもあります。厚生労働省は、人口減少より医療機関の減少が速い地域等を「重点医師偏在対策支援区域」として設定し、都道府県が「医師偏在是正プラン」を医師確保計画の中で策定する方針を示しています。令和8年度予算編成過程では、重点区域における診療所の承継・開業・地域定着支援、派遣医師・従事医師への手当増額、勤務・生活環境改善への支援が検討対象に挙げられています。自院が該当区域にあるなら、都道府県の地域医療支援センターや地域医療対策協議会の枠組みを通じた医師派遣・マッチング支援は、自力の募集より現実的な経路になりえます。

提示条件を相場に重ねる——年齢階級別の年収水準

母集団の所在が分かったら、次は提示している条件がその層の相場に届いているかを確認します。令和6年賃金構造基本統計調査によると、企業規模10人以上・男女計の医師は、平均年齢44.1歳、平均勤続年数7.5年、所定内実労働時間が月154時間、超過実労働時間が月19時間で、きまって支給する現金給与額が月102万5,900円、年間賞与その他特別給与額が106万9,300円です。単純に12か月分と賞与を合算すると年間約1,338万円になります。

年齢階級別に同じ計算をすると、25〜29歳で約698万円、30〜34歳で約872万円、35〜39歳で約1,307万円、40〜44歳で約1,367万円、45〜49歳で約1,715万円、50〜54歳で約1,774万円、55〜59歳で約1,978万円、60〜64歳で約1,863万円、65〜69歳で約1,792万円、70歳以上で約1,545万円という水準です。

図5: 医師の年齢階級別年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与)。25〜29歳698万円から55〜59歳1,978万円まで上昇し、60代以降は緩やかに下がる形を棒グラフで示した図

この数字は、狙う層と提示額の整合を確認するための目安として使えます。40代の常勤医を1,200万円で募集する場合、相場との差を何で補うのかが問われます。50代後半の層を狙うなら、相場は約1,978万円であり、年収だけで競うなら病院の管理職相当と並ぶ必要があります。逆に65歳以上の層は約1,792万円から約1,545万円へと下がっており、週4日勤務・当直なしといった条件との組み合わせで、年収面の折り合いがつきやすい層です。

なお同調査の医師は超過実労働時間が月19時間で、45〜49歳が15時間、60〜64歳が11時間と、年齢が上がるほど短くなります。時間外が少ない働き方を求める層に、当直込みの常勤枠を提示していれば、金額以前に条件が合いません。

2024年4月以降、医師の時間は制度で仕切られている

条件設計を考えるうえで、時間の扱いは制度側から枠がはめられています。医師の時間外・休日労働の上限規制は2024年4月に適用が始まり、原則はA水準の年960時間です。地域医療確保や医師派遣機能、集中的な技能研修などの事由で都道府県知事の指定を受けた医療機関では、B水準・連携B水準・C水準として年1,860時間までが認められますが、これは指定を受けた場合の例外です。あわせて月100時間未満の上限、勤務間インターバル9時間の確保、連続勤務時間の28時間上限といった健康確保措置が設けられています。

クリニック側が押さえるべき点は、副業・兼業を行う医師の労働時間が医療機関をまたいで通算されるという扱いです。厚生労働省労働基準局「医師の時間外労働の上限規制に関するQ&A」は、副業・兼業を行った場合に特別延長時間の上限と時間外・休日労働時間の上限の双方で労働時間が通算されることを明示し、勤務先が異なる水準の医療機関である場合の扱いや、36協定の起算日が異なる場合の扱いを個別に示しています。

同Q&Aは、副業・兼業先での労働時間を医師が申告しなかった場合の通算の扱いについても項目を設けています。非常勤医を受け入れる側としては、勤務の申告と実績の記録を最初から契約に含めておくことが、後の紛争を避ける実務になります。

これは、非常勤の外来枠を埋める側から見ると重要な制約です。病院に常勤で勤める医師が自院の外来を非常勤で担う場合、その時間は本業側の年間上限に積まれます。したがって「週1日・午前のみ・時間が読める枠」は、医師にとって引き受けやすい単位になります。反対に、終了時刻が読めない枠や、急な追加を前提とする枠は、制度上のリスクを医師側に負わせる条件であり、断られやすくなります。時間の枠を確定させて提示することは、待遇の上積みと同じか、それ以上に効く条件設計です。

紹介市場の実数——求人は増え、就職件数は減っている

自院の外側で何が起きているかも、数字で確認できます。厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」によると、有料職業紹介事業における医師の常用求人数は41万5,631人で、前年度の36万1,193人から15.1%増えました。一方、医師の常用就職件数は1万9,324件で、前年度から18.0%減っています。常用求人数に対する常用就職件数の比率は4.6%です。医師の新規求職申込件数は19万3,113件(9.4%増)で、求職申込に対する常用就職の比率は10.0%になります。

求人が増えて就職が減っているという組み合わせは、同じ母集団を多数の医療機関が取り合っている状態を示します。なお常用就職1件あたりの手数料は全職種平均で約103万円(前年度比10.9%増)で、紹介経由の採用単価も上がっています。手数料の相場と内訳については「医師紹介手数料の相場は年収の何%か」と「医師採用のコスト構造、直接費用と間接費用の内訳」で扱っています。

同じ集計で、医師の臨時日雇求人延数は196万1,274人日、臨時日雇就職延数は67万4,397人日です。常用求人41万5,631人に対して臨時日雇求人が196万人日という規模感は、医師の紹介市場が常勤だけで動いているわけではないことを示しています。非常勤・スポットの枠で医師に届く経路は、常勤枠よりはるかに太い流量を持っています。臨時日雇の就職延数は求人延数の34.4%で、常用の4.6%とは水準が違います。同じ紹介会社を使っていても、常勤枠に出すか非常勤枠に出すかで成約の確率がこれだけ変わるということです。

制度側でも、開業と外来の配置には調整が入り始めています。令和6年12月に示された医師偏在対策の方向では、外来医師過多区域の新規開業希望者に対し、都道府県が開業6か月前に提供予定の医療機能等の届出を求め、協議の場への参加や、地域で不足する医療・医師不足地域での医療提供の要請を行えるようにするとされています。要請に従わない医療機関には医療審議会での説明の求めや勧告・公表、保険医療機関の指定期間を6年から3年等へ短縮する措置が挙げられています。あわせて、医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件について、対象医療機関に公的医療機関や国立病院機構等の病院を追加し、必要な勤務経験期間を6か月以上から1年以上に延長する方向が示されています。既存のクリニックにとっては、周辺の新規開業の出方と、若手医師が医師少数区域での勤務経験を積む動線の両方が、今後の採用環境に影響する要素になります。

図6: 自院の求人条件を母集団に重ねる診断チャート(概念図)。施設・年齢・診療科・条件の4軸で母集団が消えていないかを順に確認する構成

条件設計の選択肢——常勤をほどく、時間帯を切る、複数で埋める

診断の結果、母集団が薄い軸が見つかった場合の打ち手は、条件設計そのものを変えることです。方向は大きく4つあります。

第一に、常勤という前提をほどくことです。診療所の勤務医4万1,653人という母集団に対し、病院に21万9,393人が所属しています。非常勤枠であれば、この21万人側に届く可能性が生まれます。週1日の枠を4人で埋めれば、常勤1名の代替になります。第二に、時間帯を切って提示することです。終了時刻が確定した枠は、副業・兼業の労働時間通算という制度上の制約の中で引き受けやすい単位になります。第三に、狙う年齢層を動かすことです。診療所で実際に働いている層の中心は50代から70代であり、この層に対して当直なし・週4日・年収1,700万円前後という設計は、相場と母集団の両方に整合します。第四に、地域の制度を使うことです。医師偏在指標の低い区域にある場合、都道府県の医師確保計画と地域医療支援センターを通じた派遣・マッチング、重点医師偏在対策支援区域を対象とした支援の対象になりえます。

この4つはいずれも、医師を「採りにくい人材」として扱うのではなく、医師側の合理的な選択に自院の枠を合わせるという発想に立っています。専門医の維持や症例の確保、家庭の事情、そして2024年4月以降は自分の年間労働時間の管理まで、医師が勤務先を選ぶ基準は増えました。その基準に対して、こちらの枠を動かせる幅を先に整理しておくほうが、待遇の上積みだけで競うより現実的です。

複数の非常勤で埋める設計に切り替える場合、実務上の負荷が増えるのは事実です。契約と労働条件明示の書面が人数分必要になり、電子カルテの運用や申し送り、患者の継続性の確保に手間がかかります。それでも、4万1,653人の常勤層を全国の他院と取り合う設計と、21万9,393人の病院勤務層に週1日単位で届く設計では、到達できる母集団が5倍以上違います。どちらの負荷を選ぶかという比較として整理すると判断しやすくなります。

求人票の書き方そのものについては「医師求人の出し方は求人票の要素で決まる」で法定明示事項から整理していますので、条件設計を決めたあとの作業としてご参照ください。条件が母集団に届いていれば書き方の改善は効きますが、母集団がゼロに近い条件では書き方をいくら磨いても反応は変わりません。

まとめ: 診断の順序を固定してから、条件を1つだけ動かす

応募が来ないクリニックを診断する順序は、施設と雇用形態、年齢、診療科、地域、待遇と時間の5段です。診療所の勤務医は全国4万1,653人、そのうち40歳未満は診療所従事医師全体で7,653人、診療科によって母集団は5倍以上違い、地域の医師偏在指標は二次医療圏で6倍の幅があります。年収の相場は年齢階級によって698万円から1,978万円まで動き、時間外労働は2024年4月以降、医療機関をまたいで通算される制度の中にあります。

これらはいずれも公表統計から確認できる事実であり、自院の努力で短期に動かせる変数ではありません。動かせるのは自院が提示する条件だけです。だからこそ、条件を変える前に「どの層に向けた求人になっているか」を数字で言えるようにしておくことが、投じる費用と時間の無駄を減らします。

この5段のどこで母集団が消えているかを特定したうえで、変える条件は一度に1つだけにするのが実務的です。年齢層を動かすのか、常勤をほどくのか、時間帯を切るのかを決め、次の3か月で反応の差を見る。応募数という結果は母集団と条件の積で決まりますから、どちらを動かしたのかが分からない変更を重ねると、次の判断材料が残りません。まずは自院の現行条件を、この記事の図1から図5に照らして、母集団の人数を実際に書き出してみることをおすすめします。