体調を崩して研修を休んでいる。出産の予定が研修期間に重なった。研究や留学に進みたい。理由はさまざまでも、研修医がまず知りたいのは「何日まで休めるのか」「休みが長引いたら研修はどうなるのか」「病院を移っても続きからやれるのか」の3点です。この記事では、医師法と臨床研修省令、厚生労働省の施行通知を一次資料で読み、「休止」「中断」「未修了」の違いと、それぞれの手続きを時系列で整理します。続けるか辞めるかの迷いそのものは研修医を辞めたい2年目の記事で扱っているので、ここでは制度と手続きに絞ります。

最初に答え: 90日以内なら休止、超えれば未修了か中断になる

臨床研修で「休む」ときの扱いは3つに分かれます。

1つ目は休止です。施行通知は、研修期間を通じた休止期間の上限を90日としています。90日の数え方では、研修機関(施設)が定める休日は含めません(厚生労働省「医師法第十六条の二第一項に規定する臨床研修に関する省令の施行について」令和6年2月8日一部改正 第2の20(1)ア、以下「施行通知」)。この範囲に収まり、必修分野の必要履修期間も満たせば、休んだことは修了の妨げになりません。

2つ目は未修了です。研修期間が終わった時点で休止期間が90日を超えている場合、施行通知は未修了とすると定めています。この場合は原則として同じ研修プログラムで研修を続け、90日を超えた日数分以上の研修を行います。

3つ目は中断です。施行通知は中断を、研修プログラムに定められた研修期間の途中で臨床研修を長期にわたり休止すること、または中止することと定義しています。中断すると「臨床研修中断証」を受け取り、同じ病院か別の病院で研修を再開します。

つまり、元の病院・元のプログラムで遅れを取り戻すなら未修了(延長)、病院を移る、あるいは長期間離れるなら中断、というのが大まかな分かれ目です。どちらになるかは、休止日数の見込みと再開する場所で決まります。

図1: 休止・中断・未修了の違い(概念図)

そもそも臨床研修は、医師法16条の2第1項が「診療に従事しようとする医師は、二年以上、都道府県知事の指定する病院又は外国の病院で厚生労働大臣の指定するものにおいて、臨床研修を受けなければならない。」と定める義務です(医師法 e-Gov法令検索)。修了しないまま診療に従事すると、この規定に違反します。厚生労働省のQ&Aは、臨床研修を修了していなければ病院・診療所の管理者になれないことにも触れています(医師臨床研修に関するQ&A(研修医編))。休み方の選択は、その後のキャリア全体の前提に関わります。

休止: 90日には年次休暇も入る

休止として認められる理由

施行通知が休止の理由として認めるのは、傷病、妊娠、出産、育児その他正当な理由です。カッコ書きで「研修プログラムで定められた年次休暇を含む」とされています。

ここが見落とされやすい点です。90日は病気や出産のためだけの枠ではありません。年次休暇として取った日も休止期間に数えます。 2年間で年休を消化していれば、その分だけ病気療養に使える日数は減ります。体調不良で休み始めたら、まず年休を含めた休止の累計が何日になっているかを、プログラム責任者に確認するのが最初の手続きです。

誰が判定するか

休止理由が正当かどうかを判定し、履修期間を把握するのはプログラム責任者の役割です。施行通知は、研修医が修了基準を満たさなくなるおそれがある場合、プログラム責任者が事前に研修管理委員会に報告・相談して対策を講じ、期間内に修了できるよう努めなければならないとしています。

対策の例として、施行通知は休日・夜間の当直や選択科目の期間の利用を挙げています。各研修分野の必要履修期間が足りない場合に、こうした方法で期間内に満たすよう努めるという書きぶりです。言い換えると、休止が長引きそうな時点で早めに相談すれば、選択科目の組み替えなどで期間内に収まる可能性が残ります。相談が遅れるほど選択肢は減ります。

日数の数え方を具体的に

90日の数え方で押さえておきたいのは、施行通知が「研修機関(施設)において定める休日は含めない」としている点です。数えるのは、本来研修をすべき日のうち休んだ日です。たとえば研修病院の休日が土日祝日だと仮定すると、平日に4週間休んだ場合、休止として数えるのはおおむね20日で、暦の28日ではありません(本記事による計算例。祝日の有無や病院の休日の定めで変わります)。逆に、病院が土曜を研修日としている場合は土曜も数えます。

この数え方の結果、同じ「2か月の療養」でも、休止日数は病院の休日の定めによって違ってきます。年休の消化日数と合わせた正確な累計は、病院が把握している勤怠記録で確認するのが確実です。自分の手帳の記録と病院の記録がずれていれば、早いうちに突き合わせておきましょう。修了判定の直前になって数日足りないと分かると、延長を避ける手段がほとんど残りません。

休職の手続きとは別に考える

勤務先の病院から見れば、研修医も雇用されている職員です。療養のための休職、産休・育休といった雇用上の手続きと、臨床研修の休止期間のカウントは別の制度です。休職の届出をしても、それだけで研修上の扱い(休止か、中断か)が決まるわけではありません。メンタル不調で休む場合の診断書や休職の流れは医師がメンタル不調で休職する手順を、治療と仕事を並行させる場合は医師の治療と仕事の両立を参照してください。研修上の扱いは、雇用の手続きとは別にプログラム責任者と確認します。

未修了: 同じプログラムで不足分を延長する

未修了の基準は3つ

施行通知は修了の基準として、研修実施期間の評価、臨床研修の目標の達成度の評価、臨床医としての適性の評価の3つを置いています。休止期間が90日を超えた場合のほか、必修分野で必要履修期間を満たしていない場合も未修了として扱います。

未修了の理由の内訳を見ると、休止期間を含む実施期間の不足が大半です。厚生労働省の医師臨床研修部会資料によれば、平成27〜28年度の未修了者123人のうち、実施期間の評価による未修了は104人(84.6%)、達成度の評価は18人(14.6%)、適性の評価は1人(0.8%)でした(医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 資料「臨床研修の中断・未修了について」、厚生労働省調べ)。同じ資料では、研修修了年度の受入実績15,466人に対し未修了者は123人で、割合は0.8%です。なお、この部会資料の集計は平成27〜29年度ごろのもので、最新の数字ではありません。傾向をつかむための参考値として読んでください。

未修了の手続き

臨床研修省令19条4項は、基幹型臨床研修病院の管理者が、研修医が臨床研修を修了していないと認めるときは、速やかに、研修医に対して理由を付してその旨を文書で通知しなければならないと定めています(医師法第十六条の二第一項に規定する臨床研修に関する省令 e-Gov法令検索、以下「臨床研修省令」)。これは管理者の義務です。口頭で「延長になる」と伝えられただけなら、理由を記した文書(施行通知の様式A-23)を受け取っておくのが筋です。

未修了になった研修医は、原則として同じ研修プログラムで研修を続けます。施行通知は、未修了の判断に至る場合でも、管理者と研修管理委員会が研修医と十分に話し合い、本人が納得するよう努めなければならないとし、経緯の記録を残す必要があるとしています。管理者は、研修を続けさせる前に、修了基準を満たすための履修計画表(様式A-24)を地方厚生局健康福祉部医事課に送ります。

未修了は「研修をやめる」ことではありません。延長期間の給与や身分は病院ごとの雇用条件で決まるので、延長が見えてきた時点で人事担当にも確認しておくと、生活面の見通しが立ちます。

図2: 休止・中断・未修了の判断の流れ(概念図)

中断: 認められる理由と、認められない理由

2つのルート

臨床研修省令18条は中断の手順を定めています。1項で、研修管理委員会は、研修医が臨床研修を継続することが困難であると認める場合に、それまでの研修の評価を行い、管理者に中断を勧告することができます。2項で、管理者はこの勧告または研修医の申出を受けて、研修を中断することができます。研修医の側から中断を申し出る道があるということです。

正当な理由

施行通知は、管理者が中断を認めることができるのは正当な理由がある場合だとして、理由を例示しています。研修医から申し出る場合の例は、妊娠、出産、育児、傷病等の理由で長期にわたり休止または中止する場合、研究、留学等の多様なキャリア形成のため長期にわたり休止または中止する場合、その他正当な理由がある場合です。研修管理委員会が勧告する場合には、これに加えて、病院の廃院や指定取消しでプログラムの実施が不可能な場合などが挙がっています。

一方で、施行通知は次のようにも書いています。「臨床研修病院の研修医に対する不満又は研修医の臨床研修病院に対する単なる不満のように、改善の余地がある場合については中断を認めるものではない」。人間関係や研修内容への不満だけでは中断の理由にならず、まず院内での改善が求められるということです。ハラスメントなど深刻な事情がある場合は、事実関係を記録したうえで、後述の地方厚生局への相談も選択肢になります。

なお施行通知は、傷病やそれに起因する障害で今の病院では研修できなくても、補完・支援する環境が整った他の臨床研修病院なら研修できる場合には、管理者は研修医が中断をして病院を移ることを可能とするよう定めています。体調面の事情で「この病院では続けられない」状況は、中断・移籍の正当な理由になりえます。

中断の統計

前出の部会資料によれば、平成27年度から平成29年7月までに中断した研修医は294人で、研修医採用実績25,355人の1.2%でした。中断理由で最も多いのは「その他」の135人(45.9%)で、資料はプログラム変更、自己都合、研修医同士のトラブル等が多いとしています。個別の理由として最も多いのは病気療養の110人(37.4%)で、資料は「病気療養については、メンタルヘルス上の事情を有する研修医が多い」と注記しています。妊娠・出産・育児は29人(9.9%)、研修内容への不満は12人(4.1%)でした。いずれも平成29年7月までの集計で、現在の状況とは異なる可能性があります。

図3: 臨床研修の中断理由(平成27年度〜平成29年7月、厚生労働省調べ)

中断の手続き: 中断証を必ず受け取る

中断前の話し合い

施行通知は、中断を検討する際、管理者と研修管理委員会が研修医やプログラム責任者らと十分話し合い、研修医の研修に関する正確な情報を把握するよう求めています。あわせて、再開する場所(同じ病院で再開する予定か、病院を変えて再開する予定か)も検討することとしています。中断という判断に至る場合は、研修医が納得する判断となるよう努めなければならず、必要に応じて事前に地方厚生局健康福祉部医事課に相談することとされています。

研修医の側から見ると、中断の面談では「いつまで休むか」と同時に「どこで再開するか」を話題にしてよい、むしろ話題にすべきだということです。

臨床研修中断証の6項目

臨床研修省令18条3項は、管理者が研修を中断した場合、研修医の求めに応じて、速やかに臨床研修中断証を交付しなければならないと定めています。施行通知では、この中断証の様式は様式A-18です。記載事項は次の6つです。

  1. 氏名、医籍の登録番号及び生年月日
  2. 中断した臨床研修に係る研修プログラムの名称
  3. 臨床研修を行った臨床研修病院(研修協力施設等を含む)の名称
  4. 臨床研修を開始し、及び中断した年月日
  5. 臨床研修を中断した理由
  6. 臨床研修を中断した時までの臨床研修の内容及び研修医の評価

交付は「求めに応じて」です。黙っていても渡されるとは限らないので、中断が決まったら研修医から交付を求めるのが確実です。6番目の「それまでの研修の内容と評価」が、再開先で研修期間を引き継ぐ根拠になります。受け取ったら、ローテートした分野と期間が漏れなく書かれているかを確認してください。

中断証がないとどうなるか。部会資料に掲載された平成27年2月24日の医事課長通知の図解は、中断証の交付がない場合に同じ病院か他の病院で研修を始めるときは、改めて2年間の研修が必要になるとしています。中断証は、それまでの研修を無駄にしないための書類です。

病院側が行うこと

施行通知によれば、管理者は中断証の交付に加え、研修医の求めに応じて、研修再開のための支援を含む適切な進路指導を行わなければなりません。また、臨床研修中断報告書(様式A-19)と中断証の写しを地方厚生局健康福祉部医事課に送ります。臨床研修省令19条の2は、管理者が帳簿を備え、中断した研修医について中断の理由や評価などを、中断した日から5年間保存しなければならないとしています。

図4: 中断から再開までの時系列(施行通知の手順を整理)

再開: 希望する病院に中断証を添えて申し込む

再開先は自分で選べる

臨床研修省令18条4項は「臨床研修を中断した者は、臨床研修病院に、臨床研修中断証を添えて、臨床研修の再開を申し込むことができる。」と定めています。施行通知はこれを「自己の希望する臨床研修病院に」申し込むことができると書いています。元の病院に限られません。

受け入れる病院にとっての重要な点は、施行通知が、中断者を受け入れる臨床研修病院は都道府県が定めた募集定員によらず採用することができるとしていることです。マッチングの定員が埋まっている病院でも、中断者の受入れは制度上可能です。ただし、基礎研究医プログラムで再開する場合は、そのプログラムの募集定員の範囲内での採用になります。

注意したいのは、受入れは病院の判断だという点です。「申し込むことができる」は研修医の権利ですが、病院に受入れを義務づける規定ではありません。再開先の候補には、中断証の写しを示しながら、受入れの可否と時期を早めに問い合わせるのが現実的です。

再開先が行うこと

中断証の提出を受けた病院が研修を行うときは、中断証の内容を考慮した臨床研修を行わなければなりません(臨床研修省令18条4項後段)。修了判定の際にも、研修管理委員会は中断証に記載された評価を考慮するものとされています(同19条1項)。再開した病院の管理者は、研修再開の日から1月以内に、修了基準を満たすための履修計画表(様式A-20)と中断証の写しを地方厚生局健康福祉部医事課に送ります。

どのくらいの人が再開しているか

部会資料によれば、平成27年から平成29年7月までに報告された中断298件のうち、233件(78.1%)が再開していました。理由別では、研修内容への不満が12件中11件(91.7%)、妊娠・出産・育児が27件中24件(88.9%)、病気療養が109件中81件(74.3%)です。平成18〜21年度の再開率は62%だったので、再開の割合は上がっています。

図5: 中断理由別の研修再開率(平成27年〜平成29年7月、厚生労働省調べ)

この数字は「中断しても多くの人が戻っている」という事実を示します。ブランクから戻ることへの不安については医師のブランクと復職の不安も参考になるはずです。

修了後: 医籍への登録は自分で申請する

再開先で修了の評価を受けると、管理者は臨床研修修了証を交付します(臨床研修省令19条2項)。ここで手続きが終わりではありません。医師法16条の6第1項は、厚生労働大臣が臨床研修を修了した者について「その申請により」修了した旨を医籍に登録すると定めています。登録には政令で定める手数料が必要です(同16条の7)。施行通知も、管理者は修了した研修医に医籍への登録の申請を行うよう励行することとしています。

中断を挟んだ研修では、修了の時期が同期とずれます。専門研修の開始時期や採用手続きとの兼ね合いもあるので、修了見込みの時期が決まったら、早めに登録申請の段取りも確認しておきましょう。

研修中断中の働き方について

中断や休止の期間に、別の医療機関で診療のアルバイトをしてよいかという疑問もあります。医師法16条の5は「臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならない。」と定めています。これは文言上、努力義務の形です。ただし、厚生労働省のQ&Aは、この規定や省令の規定を挙げて、研修期間中に診療のアルバイトをすることはできないとしています。そもそも臨床研修を修了していない医師が診療に従事すれば、16条の2第1項との関係が問題になります。中断中の就労を考えるときは、診療以外の仕事かどうかも含め、地方厚生局に確認してから判断するのが安全です。

研究や大学院進学について、同じQ&Aは、研究・留学等のため臨床研修を長期にわたり休止または中止する場合には「中断」という手続があり、再開場所を同じ病院にするか変えるかを病院とよく話し合うよう案内しています。

相談先: 地方厚生局の医事課

研修病院との話し合いがうまく進まないとき、制度上の扱いが分からないときの相談先は、病院を管轄する地方厚生局の健康福祉部医事課です。部会資料は、各地方厚生局が、臨床研修を長期にわたり休止または中止する場合の手続きに関する問い合わせや研修医からの相談を受け付けていると記載しています。中断報告書や履修計画表の送付先も同じ部署なので、制度の扱いについて第三者の確認を得たいときに使えます。

まとめ: 「残り日数」「再開場所」「中断証」の順に確認する

休む必要が出たときに確認する順番は次のとおりです。最初に、年休を含めた休止の累計と残り日数をプログラム責任者と確かめます。90日以内に収まる見込みなら休止として続けられます。収まらない場合は、元のプログラムで延長する(未修了)か、中断して別の病院でも再開できる形にするかを、再開場所と一緒に話し合います。中断を選んだら、中断証の交付を自分から求め、6項目、特に研修内容と評価の記載を確認します。再開先には中断証を添えて申し込み、困ったら地方厚生局に相談します。

図6: 中断・再開の前に確認する6項目

中断した研修医の約8割が研修を再開しています。手続きを順に踏めば、それまでの研修は次の病院に引き継げます。

参考資料

  • 医師法(昭和23年法律第201号)16条の2、16条の5〜16条の7(e-Gov法令検索)
  • 医師法第十六条の二第一項に規定する臨床研修に関する省令(平成14年厚生労働省令第158号)18条、19条、19条の2(e-Gov法令検索)
  • 厚生労働省医政局長通知「医師法第十六条の二第一項に規定する臨床研修に関する省令の施行について」(平成15年6月12日医政発第0612004号、令和6年2月8日一部改正)第2の19・20
  • 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 資料「臨床研修の中断・未修了について」(厚生労働省調べ)
  • 厚生労働省「医師臨床研修に関するQ&A(研修医編)」