「当直を外してほしい」と伝えたとき、返ってくる答えが人によって違うのは、上司の器量の差ではありません。免除を求める理由によって、法律上の請求権が立つ場合と、立たない場合があるからです。前者は事業主が原則として拒めません。後者は最初から最後まで交渉です。この記事では、根拠になる条文を先に確定させ、そのうえで請求の手続きと、交渉しかない場合の進め方を分けて示します。
結論: 当直免除の話は3つの経路に分かれる
先に答えを書きます。当直免除の求め方は、次の3つに分かれます。
第1に、法律上の請求権がある類型です。妊産婦が請求した場合の深夜業の免除(労働基準法66条3項)、小学校就学前の子を養育する労働者が請求した場合の深夜業の制限(育児介護休業法19条)、要介護状態にある対象家族を介護する労働者の同じ制限(同法20条)が該当します。これらは請求が要件を満たせば、事業主の側に「させてはならない」という義務が生じます。
第2に、健康確保措置を通す経路です。長時間労働者への面接指導の結果として、労働安全衛生法66条の8第5項は「深夜業の回数の減少等の措置」を、医療法108条5項は「宿直の回数の減少その他の適切な措置」を挙げています。これは自分の請求ではなく、面接指導を行った医師の意見を経由して管理者に措置義務が生じる形です。
第3に、法的な根拠がない類型です。体力的にきつい、研究や論文の時間を確保したい、子育て中だが子はすでに小学生、親の生活が心配だが要介護状態には至っていない。いずれも切実ですが、条文の適用対象からは外れます。ここは交渉の設計で勝ち取る領域になります。
この線引きを自分でしないまま面談に入ると、請求権がある人が「お願い」として伝えてしまい、逆に根拠のない人が権利として押し込もうとして関係を壊します。まず自分がどこに立っているかを確定させてください。
その前に: あなたの「当直」は労働時間なのか
条文の話に入る前に、ひとつ確認が必要です。同じ「当直」という言葉でも、法的な中身が2種類あります。
労働基準法41条3号は、監視または断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたものについて、労働時間・休憩・休日に関する規定を適用しないと定めています。これが宿日直許可です。許可を受けた宿日直勤務は、拘束されている時間の全部が労働時間として扱われるわけではありません。
医師・看護師等については、令和元年7月1日基発0701第8号が許可の考え方を示しています。通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること、宿日直中に従事する業務は特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務に限ること、宿直の場合は夜間に十分な睡眠がとり得るものであること。通常の勤務時間と同態様の業務に従事することが稀にあっても許可を取り消す必要はないとされていますが、それが常態であれば許可の前提が崩れます。
この違いが免除交渉に直結します。宿日直許可がない当直、つまり実態として救急対応が連続している当直は、そのまま時間外・休日労働として積み上がります。年間の上限は原則960時間、都道府県の指定を受けた特例水準で1,860時間です。回数が多ければ上限との距離を数字で示せますから、健康確保措置の経路に乗せやすくなります。
逆に宿日直許可がある当直は、労働時間としては積み上がりにくい一方で、深夜の時間帯に拘束される事実は変わりません。この場合は「深夜業の免除」「宿直回数の減少」という切り口で求めることになります。自院の当直に許可があるか、あるとして許可の範囲はどの診療科・どの時間帯までかを、事務部門に確認してから動いてください。当直体制の詳細は医師の時短勤務制度の回とあわせて読むと整理しやすくなります。
請求すれば事業主が拒めない類型①: 妊産婦の深夜業免除
もっとも強い請求権は労働基準法66条3項です。使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない、と定めています。ただし書きはありません。「事業の正常な運営を妨げる場合」といった逃げ道が条文上に存在しない点が、後で見る育児介護休業法との決定的な違いです。
ここでいう妊産婦は妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性を指します。つまり復職直後も対象に含まれます。同条の1項と2項は、請求すれば変形労働時間制の枠を超える労働や、時間外労働・休日労働もさせられないと定めています。当直は深夜業と時間外・休日労働の両方に関わるため、この3項が実質的に当直の免除として機能します。
手続きは請求です。口頭でも成立しますが、いつ請求したかが後から争点になり得るため、日付と対象期間を書いた書面かメールで残してください。関連して労働基準法65条3項は、妊娠中の女性が請求した場合に他の軽易な業務へ転換させなければならないと定めています。当直だけでなく、日勤の業務内容についても請求の余地があることになります。
請求すれば原則断れない類型②: 小学校就学前の子・要介護家族がある場合
育児介護休業法19条1項は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合、午後10時から午前5時までの間に労働させてはならないと定めています。20条が要介護状態にある対象家族を介護する労働者について同じ内容を準用しています。
ここで強調しておきたいのは、この制限が性別を問わないことです。条文は「労働者」と書いてあり、男性医師も同じ請求権を持ちます。にもかかわらず運用の現場では女性医師の話として扱われがちで、男性医師が請求したときに前例がないと言われることがあります。前例の有無は条文の適用と無関係です。
そして重要なのは、この請求権が無条件ではない点です。「請求すれば必ず通る」と誤解したまま面談に入ると、はしごを外されます。
19条1項は、次のいずれにも該当しない労働者が請求した場合に限ると書いています。1号は、その事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者。転職直後や、異動で雇用主が変わった直後は対象外になり得ます。2号は、請求に係る深夜において、常態としてその子を保育することができる同居の家族その他の厚生労働省令で定める者がいる場合のその労働者。ただしこの「同居の家族」の範囲は、同法施行規則60条が絞っています。対象になるのは16歳以上の同居の家族であって、深夜に就業していない(深夜の就業日数が1か月について3日以下の者を含む)こと、負傷・疾病・身体上もしくは精神上の障害によりその子を保育することが困難な状態にないこと、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定でなく、かつ産後8週間を経過しない者でもないこと、のすべてに当たる者だけです。配偶者が夜勤のある職業に就いている場合や、産前産後の時期にある場合は、この号には当たりません。3号は、そのほか請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの。その中身は施行規則61条が、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者と、所定労働時間の全部が深夜にある労働者の2つに限定しています。常勤の医師がこの3号で外れることは通常ありません。介護の場合は20条の読替えにより、2号が「常態として介護できる同居の家族」に置き換わります。
さらに、要件を満たしても1項ただし書が残ります。「ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない」。当直体制が崩壊するほど人員が薄い部署では、この例外が真正面から持ち出される可能性があります。したがって現実的な進め方は、請求を出すと同時に、正常な運営が妨げられない形を自分から提示することです。
期間と期限も条文に書かれています。1回の制限期間は1か月以上6か月以内で、開始予定日の1か月前までに、初日と末日を明らかにして請求します。長く続ける場合は更新していく形になります。深夜業だけでなく時間外労働も抑えたい場合は、同法17条が1か月24時間・1年150時間を超える延長を禁じ、16条の8が所定労働時間を超える労働を禁じています。ただし16条の8のほうは、労使協定で請求できないものと定められた労働者に該当しないことが条件になっており、19条や17条より適用の入口が狭くなっています。17条の除外事由は19条と同じ構成で、勤続1年未満の労働者と、厚生労働省令で定めるものの2つです。
対象家族と要介護状態は、定義を条文で照合する
介護を理由に当直免除を求める場合、20条の入口で落ちることがあります。育児介護休業法2条3号は要介護状態を「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態」と定義しています。この「厚生労働省令で定める期間」は、同法施行規則2条により2週間以上の期間とされています。要介護認定の有無とは別の概念で、認定がなくても該当し得る一方、心配な状態という程度では届きません。
同条4号は対象家族を、配偶者、父母及び子、並びに配偶者の父母と定めています。配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、父母と子については「これらの者に準ずる者として厚生労働省令で定めるもの」も含まれます。この省令は施行規則3条で、範囲を祖父母、兄弟姉妹及び孫と定めています。つまり同居の祖父母や兄弟姉妹の介護も、要介護状態の要件を満たせば20条の請求の対象になり得ます。
育児の側にも同じ照合が必要です。19条の対象は「小学校就学の始期に達するまでの子」ですから、子が小学校に上がると制限期間はその時点で終了します。19条4項2号がその旨を定めています。第一子が就学し第二子が未就学であれば、請求の根拠は第二子に移ります。誰を理由に請求しているのかを書面上で特定しておくと、期間の管理も楽になります。
請求の書面には何を書くか
19条の請求は、形式が自由ではありません。同法施行規則62条2項が、書面を提出する方法、ファクシミリを利用して送信する方法、電子メール等を送信する方法のいずれかによると定めています(後の2つは事業主が適当と認める場合に限られます)。そのうえで育児介護休業法19条2項が求めているのは、制限期間について初日と末日を明らかにすることです。逆に言えば、期間を切らずに「当直を外してください」と伝えた時点では、19条の請求としては未完成です。
記載事項も施行規則62条1項に並んでいます。請求の年月日、請求をする労働者の氏名、子の氏名・生年月日・続柄、制限期間の初日と末日、子が養子である場合は養子縁組の効力が生じた日、そして規則60条の者がいない事実です。最後の項目は見落とされがちですが、これは省令上の記載事項ですから、配偶者の勤務形態などをこちらから書いておくと、確認のやり取りが一往復減ります。介護の場合は規則67条1項が同じ構成で、対象家族の氏名と続柄、対象家族が要介護状態にある事実を書かせます。事業主はこれらの事実を証明できる書類の提出を求めることができるとされているため、証明の当てを先に考えておくと止まりません。
提出先も確認してください。診療科の部長に口頭で伝えただけでは、人事部門に届いていないことがあります。開始予定日の1か月前という期限は条文上の要件ですから、誰にいつ渡したかを残す意味は大きいです。診療科での相談と人事への正式な提出を、別の行為として設計してください。
労働基準法66条3項の請求には期限の定めがありません。ただし当直表は先に組まれますから、次の勤務表の作成前に出すのが実際的です。
類型③: 面接指導の結果として宿直回数を減らす
請求権が立たない場合でも、もう1本の経路があります。健康確保措置です。
労働安全衛生法66条の8第5項は、面接指導の結果に基づく医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならないと定めています。医療法108条5項はこれを医師向けに具体化し、「労働時間の短縮、宿直の回数の減少その他の適切な措置」と書いています。条文が明示的に宿直の回数に触れているのは、この108条5項です。当直免除を求めるときに引くべき条文は、まずここだと考えてください。
対象は、時間外・休日労働が月100時間以上になると見込まれる医師です。医療法108条2項は、管理者が指定した面接指導実施医師の面接を希望しない場合、他の実施医師の面接を受けて結果を証明する書面を提出すればよいとしています。自院の上司に相談しにくい事情があるなら、この仕組みを使う選択肢があります。同条6項は、労働時間の状況が特に長時間である場合に、管理者が労働時間の短縮のために必要な措置を講じなければならないと定めています。7項により、面接指導・意見聴取・措置の内容は記録され保存されます。
勤務間インターバルも関係します。A水準では始業から24時間以内に9時間の連続した休息を確保することが努力義務、特例水準の適用を受ける医師については義務です。ただし医療法110条1項ただし書は、一定の時間内に宿日直勤務(厚生労働大臣の定める基準に適合するもの)に従事させる場合を除いており、ここでも宿日直許可の有無が効いてきます。数値の意味は医師の過労死ラインの基準の回で扱っています。
法的な根拠がない領域: ここからは条件設計の話になる
一方で、条文に乗らない理由もあります。夜勤明けの回復に時間がかかる、研究や専門医取得の準備時間を確保したい、子が小学校に上がって19条の対象から外れた、親の生活に不安があるが要介護認定には至っていない、副業先の勤務と重なる。これらは請求権の対象外です。
ここで無理に権利の言葉を使うと、かえって不利になります。事業主が拒めないと主張したのに根拠を示せなければ、その後に出す提案の信頼度まで下がります。根拠がない領域では、最初から「制度としての請求ではなく相談です」と位置づけを明示したほうが話が進みます。
条文に乗らないからといって、交渉材料がないわけではありません。長時間労働の実績は健康確保措置の経路につながります。労働時間の状況の記録は自分でも残せます。当直回数の偏りが特定の医師に集中しているなら、それは労務管理の課題として提示できます。
交渉の設計: 全免を求めず、回数の階段を出す
根拠なしの類型で最もよく失敗するのは、全部免除を最初の要求にしてしまうことです。当直は誰かが埋めなければならない枠であり、1人抜ければ他の医師の回数が増えます。全免の要求は、部署全体の負担配分の変更を一度に求めることになり、管理者としては受けにくくなります。
現実に通りやすいのは回数の階段です。月4回を当面3回に、半年後に2回へ、というように段階と期限を切って示します。期限があると管理者は人員計画を立てられます。あわせて、抜けた枠をどう埋めるかの代替案を自分から出してください。日直への振替、平日日勤の増担、オンコール待機の引き受け、外勤日の調整、若手の当直に上級医として電話バックアップで入る形など、部署の事情に合うものを選びます。
合意した内容は、口頭で終わらせずに文字にしてください。開始月と回数、見直しの時期、代替として引き受ける業務、手当の扱い。人事異動で上司が代わると前提が引き継がれないことがあり、そのときに参照できるものがあるかどうかで結果が変わります。管理者の側にとっても、部署内の他の医師に説明できる形が残るのは利点になります。
給与の扱いは先に自分で整理しておくべき論点です。当直手当が月収のまとまった部分を占めている施設は少なくありません。回数を減らせばその分は減ります。減額を受け入れるのか、日勤の業務量を増やして調整したいのか、立場をあらかじめ決めておくと、条件のすり合わせが一度で終わります。相場の感覚は当直バイトの単価相場の回が参考になります。
なお、請求権がある類型でも給与の議論は避けられません。深夜業が免除されれば深夜割増も当直手当も発生しなくなるためです。免除されたのに手当が減った、という不満は構造上ほぼ必ず生じます。免除の請求と収入の見通しは、同時に机に載せてください。
請求したことを理由とする不利益な取扱いは禁じられている
請求をためらう理由として多いのが、評価や処遇への影響です。育児介護休業法20条の2は、労働者が19条1項の請求をしたこと、またはその請求により深夜において労働しなかったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めています。20条による介護の場合も含まれます。
ここで整理しておくべきなのは、不利益な取扱いと、免除の結果として自然に生じる減額の違いです。深夜業が免除されれば深夜割増賃金は発生せず、当直手当も支給されません。働いていない時間に対する賃金が出ないことは、不利益な取扱いとは別の話です。一方で、請求したことを理由に基本給を下げる、担当を外す、評価を下げるといった扱いは20条の2の問題になります。自分が受けた扱いがどちらなのかを切り分けておかないと、話が噛み合いません。
学会出張や手術の執刀機会など、金銭以外の処遇に影響が出た場合も検討の対象になり得ます。気になる変化があれば、時期と内容を記録しておいてください。
現場で起きやすい3つのずれ
条文を確認しても、運用の側で話がずれることがあります。
第1に、宿日直許可があるから深夜業免除の対象外だ、という説明です。育児介護休業法19条1項は「深夜において労働させてはならない」と書いており、その労働が労働基準法41条3号により労働時間規制の適用除外となっているかどうかで請求権の有無が変わる構造にはなっていません。宿日直許可は労働時間・休憩・休日に関する規定の適用の話です。
第2に、年次有給休暇で当直を回避してほしいという運用です。有給休暇は労働者が取得時期を指定して取るもので、免除の代わりに使うものではありません。請求権がある類型でこの運用を提案された場合は、条文に基づく免除と休暇の取得は別だと確認してください。
第3に、副業先での当直が絡む場合の扱いです。複数の施設で勤務している医師は、自院の当直を減らしても外勤先で深夜勤務が残ることがあります。育児介護休業法19条の請求は雇用されている事業主に対するものですから、外勤先の勤務は自院の請求では動きません。免除の目的が夜間の時間を確保することであれば、外勤の予定も含めて全体を組み直す必要があります。
病院側の制約を織り込むと話が早い
管理者の立場から見ると、当直免除の相談は、限られた人数の再配分の問題です。宿日直許可がある施設なら回数の上限や配置の考え方に縛りがあり、許可がない施設なら1回の当直が時間外労働として上限規制に食い込みます。特例水準の指定を受けていれば労働時間短縮計画の履行も問われます。免除を1人認めた結果、別の医師が上限に近づくという事態は、管理者が最も避けたい形です。
ですから、自分の免除が誰の負担増になるのか、その負担増をどこで吸収できるのかを一緒に持ち込むと、話の質が変わります。「私を外してください」ではなく「この形なら部署全体の当直回数の分布はこうなります」と出せれば、検討の土台ができます。人員が本当に足りない場合、答えは免除ではなく採用や応援医師の手配になることもあり、その判断材料を管理者に渡すのは求める側にとっても近道です。
もうひとつ、個人の交渉とは別に使える経路があります。医療法113条は、特定地域医療提供機関などの指定申請にあたって労働時間短縮計画の案を添えることを求め、同条3項1号は、その案が当該病院に勤務する医師その他関係者の意見を聴いて作成されたものであることを要件のひとつに挙げています。当直体制の負担が個人の事情ではなく部署の構造の問題であるなら、この計画の意見聴取の場で回数配分を議題にするほうが、面談を重ねるより早いことがあります。自院が特例水準の指定を受けているか、短縮計画の意見聴取がいつ行われるかを確認してみてください。
断られたときと、通ったあとの記録
請求権のある類型で拒まれた場合、まず拒否の理由を文字で受け取ってください。19条であれば、1項各号のどれに該当すると判断したのか、それともただし書の「事業の正常な運営を妨げる場合」なのか。前者なら事実認識のずれを正せます。後者なら、どの条件が変われば妨げにならないのかを詰められます。労働基準法66条3項に基づく請求で拒まれた場合は、条文にただし書がないため、話の筋は明確です。
通った場合も記録を残します。開始日と終了日、当直回数、代替として引き受けた業務、手当の取り扱い。育児介護休業法の制限期間は最長6か月なので、更新の時期を自分で管理する必要があります。面接指導の経路で措置を受けた場合は、医療法108条7項により記録が保存されますから、内容の写しを求めておくと次回の話がしやすくなります。
体調が先に限界に来ている場合は、免除交渉と並行して休職の手順も押さえておいてください。医師のメンタル休職の手順の回で扱っています。
まとめ: 条文を確定させてから面談を設定する
当直免除の相談は、根拠の有無で進め方が完全に変わります。妊産婦であれば労働基準法66条3項、小学校就学前の子または要介護家族があれば育児介護休業法19条・20条。ただし後者には勤続1年未満・深夜に保育や介護ができる同居家族がいる場合などの除外と、事業の正常な運営を妨げる場合の例外が残ります。請求権が立たなければ、労働安全衛生法66条の8第5項と医療法108条5項の健康確保措置が次の経路になり、それも使えなければ条件設計の交渉です。
面談の前にやることは3つです。自分がどの経路に乗るかを条文で確定させる。自院の宿日直許可の有無と範囲を確認する。直近6か月の当直回数と時間外の実績を自分で数える。この3つがそろっていれば、面談は感情のやり取りではなく条件の詰めになります。
