「うちは年俸制なので残業代という概念がありません」。医局の面談でも、民間病院の条件交渉でも、この一言で話が終わってしまうことがあります。ところが労働基準法を開くと、年俸制という言葉はどこにも出てきません。あるのは、時間外労働をさせたら割増賃金を支払わなければならないという使用者の義務だけです。この記事では、契約書に1行で書かれた年俸を4つの層に分解し、どの層が争点になるのかを条文と最高裁判例で確定させます。

図1: 年俸1本に見える金額を、所定内賃金・定額残業代・宿日直手当・適用除外の4層に分解した概念図

年俸制は支払い方の呼称であり、37条の義務を免れる根拠にならない

先に結論を置きます。年俸制は、賃金を年単位で決めて月々に割って支払うという「支払い方の呼称」です。労働基準法にはこの制度を定めた条文がなく、したがって割増賃金の支払義務を外す規定も存在しません。

義務の根拠は37条1項です。原文は「使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と定めています。文末は「支払わなければならない」で、これは努力義務ではなく義務です。しかも119条1号は37条違反を6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象に挙げています。罰則つきの義務である、というのが出発点です。

さらに13条が効きます。「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による」。つまり「年俸制だから残業代は支払わない」という合意そのものが、37条の基準に達しない部分については無効になります。労使が合意していたかどうかは、この局面では決め手になりません。

図2: 時間外25%、月60時間超50%、深夜25%、法定休日35%という割増率の最低ラインを比較した棒グラフ

率の内訳も条文で決まっています。時間外は2割5分以上、1か月60時間を超えた部分は5割以上(37条1項ただし書)、深夜(午後10時から午前5時まで)は2割5分以上(37条4項)です。法定休日労働の3割5分は政令が定めています。

それでも「年俸に残業代が含まれている」と言われる仕組み

ここまでの話と、現場で「含まれている」と説明される実務は、矛盾していません。37条は「割増賃金を支払え」と命じているだけで、支払い方の形を限定していないからです。あらかじめ一定額を定額で支払っておく方法(定額残業代、固定残業代)は、それ自体が違法というわけではありません。

したがって争点は「年俸制かどうか」ではなく、「その年俸のうち、時間外労働の対価として支払われた部分を特定できるか」に移ります。特定できれば、その時間数までは追加請求できません。逆に特定できなければ、年俸の全額が所定内労働に対する賃金として扱われ、それを基礎に割増賃金を計算し直すことになります。この構造を先に掴んでおくと、以降の話が整理しやすくなります。

36協定の有無と、支払義務の有無は別の軸

年俸の内訳を確認していくと、36協定の話が出てくることがあります。36条1項は、過半数組合または過半数代表者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合に、法定労働時間を超えて労働させることができる、という建付けです。届け出がなければ、時間外労働をさせること自体が32条違反になります。

ここで混同されやすいのが、「協定がないなら残業代も発生しないのではないか」という発想です。順序は逆です。36協定は時間外労働をさせることの適法性に関わる要件で、働いた時間に対する対価の話ではありません。協定がないまま働かせた場合でも、割増賃金の支払義務はなくなりません。違法な時間外労働をさせた側が、対価の支払を免れるという結論にはなりません。

なお33条は、災害その他避けることのできない事由によつて臨時の必要がある場合に、行政官庁の許可を受けて労働時間を延長できると定めています。37条1項は33条による延長にも割増賃金を課しており、緊急対応だから無償という理屈も条文上は立ちません。

定額残業代が有効とされるための要素

厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークが事業主向けに配っているリーフレット「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」は、若者雇用促進法に基づく指針を踏まえて、募集要項や求人票に明示すべき内容を3点挙げています。①固定残業代を除いた基本給の額、②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法、③固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨、の3点です。

図3: 固定残業代を賃金に含める場合に明示すべき3点(基本給の額・時間数と金額の計算方法・超過分の追加支払)

これは求人表示のルールですが、裏返せば定額残業代が機能するために何が必要かを言い当てています。定額部分の額が言えること、それが何時間分かが言えること、超えた分は別に払う建付けになっていること。この3点のどれかが欠けていると、金額と時間の対応がつかず、通常の労働時間の賃金と割増賃金を切り分けられません。

割増賃金の計算基礎に入る賃金と入らない賃金

判別可能性の次に来るのが、割増賃金を計算する単価そのものです。37条5項は「第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない」と定めています。ここは限定列挙に近い扱いで、規則に挙がっていない手当は原則として基礎に入ります。

年俸制の医師の場合、諸手当の名目が多岐にわたることが少なくありません。「医師手当」「診療手当」「研究手当」といった名称の手当が、家族手当や通勤手当に当たらないのであれば、時間単価を押し上げる方向に働きます。逆に、病院側が年俸のうち大きな部分を定額残業代として位置づけていると、所定内賃金が小さくなり、単価も小さくなります。どの層にいくら割り振られているかは、請求額に直接影響します。年俸の総額が同じでも、内訳の書き方で時間単価は変わる、という点は押さえておいてください。

判別可能性を欠いた年俸1,700万円の事例

医師にとって最も射程が近いのが、最高裁第二小法廷平成29年7月7日判決(医療法人社団康心会事件)です。事案は、年俸1,700万円(本給月額86万円、諸手当月額34万1,000円、賞与)で雇われた勤務医が、時間外労働に対する割増賃金を請求したものでした。病院側は、時間外手当は一定の緊急業務等に限り、それ以外の割増賃金は年俸に含まれる旨の合意があったと主張しました。

最高裁は、割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合には、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できることが必要であるとし、本件では年俸のうち割増賃金に当たる部分が明らかにされていなかったとして、判別可能性を欠くと判断しました。年俸1,700万円という高額であっても、それだけでは支払ったことにならないという結論です。

この判決の射程は、医師の年俸制そのものを違法とするものではありません。判別可能性という一般的な枠組みを、医師の年俸制の事案に当てはめたものです。逆に言えば、内訳が明示されている年俸制であれば、同じ結論にはなりません。

対価性は契約書だけで決まらない

判別ができていれば足りるのかというと、その手当が本当に時間外労働の対価として支払われているか(対価性)も問われます。最高裁第一小法廷平成30年7月19日判決(日本ケミカル事件)は、ある手当が時間外労働等の対価として支払われるものとされているか否かは、契約書等の記載内容のほか、使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容、労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべきである、としました。

この事案は薬剤師の業務手当に関するものであり、医師の年俸制の事案ではありません。ただし枠組み自体は割増賃金一般の判断に用いられており、名称が「医師手当」「職務手当」であっても、説明の内容と実際の勤務状況から対価性が否定されることはあります。逆に、たとえば「時間外30時間分」と明示された手当が、実勤務がおおむねその範囲に収まっている状況で支払われているなら、対価性が認められやすくなります。

内訳が書かれている年俸と、書かれていない年俸の差

同じ「年俸1,500万円」でも、書き方で意味が変わります。内訳が「本給月額100万円、時間外手当として月25万円(時間外労働40時間相当。40時間を超えた分は別途支給)」と書かれていれば、定額部分の額、相当する時間数、超過分の別途支払という3点がそろっており、少なくとも形式面では判別ができます。この場合、月40時間までの時間外については追加請求の余地が乏しく、41時間目からが請求の対象になります。

一方、「年俸1,500万円(時間外手当を含む)」としか書かれていない年俸は、金額と時間の対応がありません。これが康心会事件で判別可能性を欠くとされた形です。この場合、時間外分として支払われた部分を特定できないため、年俸の全額が所定内労働の対価として扱われ、それを基礎に単価を出して、実労働時間に応じた割増賃金を計算し直すことになります。病院側にとっては、年俸を高く設定していたことが計算基礎を大きくする方向に働く、という逆転が起きます。

そして、形式がそろっていても対価性の検討が残ります。「時間外40時間相当」と書いてあるのに、実際には毎月80時間を超える時間外労働が常態で、超過分が一度も支払われていない。この状態は、日本ケミカル事件が挙げた「労働者の実際の労働時間等の勤務状況」の評価に直結します。契約書の文言と運用の乖離が大きいほど、対価性は揺らぎます。ここは書類だけでなく、実際の勤務実績と支給実績の突き合わせが必要になる領域です。

ここが記事の核心です。「年俸制でも必ず残業代が出る」と単純化するのは正確ではありません。定額残業代が有効に定められていれば、その時間数までは追加請求できません。有効要件を満たしているかどうかが争点になる、という構造で捉えるのが実務的です。

管理監督者(41条2号)に当たるかは肩書きで決まらない

もう一つの説明が「あなたは管理職だから」です。根拠は41条で、同条は「この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない」と定め、2号に「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」を挙げています。

条文の読み方で重要な点が2つあります。第一に、適用除外の対象は労働時間・休憩・休日に関する規定であり、深夜割増(37条4項)や年次有給休暇(39条)は除外されません。管理監督者であっても深夜労働の割増賃金は発生します。第二に、条文は「監督若しくは管理の地位にある者」と書いており、役職名を挙げていません。

図4: 管理監督者性を職務内容と責任・権限/勤務態様/待遇の3点から実態で判断することを示した概念図

厚生労働省の「管理監督者の範囲の適正化に関するQ&A」は、管理監督者を、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者と説明し、名称にとらわれず実態に即して判断するとしています。判断の視点は、職務内容と責任・権限、勤務態様、待遇の3点です。

医師の場面に落とすと、次のような点が実質判断の材料になります。診療科の人事や予算に関する決定に参画しているか。部下医師の採用・評価・労務管理の権限が実際にあるか。当直表やシフトに一般の医師と同様に組み込まれ、出退勤の裁量が乏しいのではないか。管理職手当が、失われる時間外手当に見合う水準か。医長・部長という肩書きがあっても、これらが伴っていなければ管理監督者性は否定されうる、というのが行政解釈の建付けです。

いわゆる名ばかり管理職をめぐる裁判例は飲食チェーンの店長などの事案が多く、病院組織にそのまま当てはめられるわけではありません。ただ、権限と待遇が伴わないまま長時間労働を担わせる構図という点では、検討の筋道は共通します。

みなし労働時間制や高度プロフェッショナル制度は使えるのか

「うちは裁量労働だから」という説明も聞きます。制度の対象が条文で絞られているので、ここは確認が早く済みます。

38条の3の専門業務型裁量労働制は、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、遂行の手段および時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務を対象とします。対象業務は省令および厚生労働大臣の指定する業務に限られており、そこに医師の診療業務は含まれていません。

38条の4の企画業務型裁量労働制は、対象業務を「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」と定義しています。病院の経営企画部門の業務がこれに当たる余地はあっても、外来や病棟、手術、当直といった診療そのものは、この定義に収まりません。加えて同条は、労使委員会の5分の4以上の多数による決議、行政官庁への届出、対象労働者本人の同意、健康・福祉確保措置や苦情処理措置といった手続を要件にしています。要件の重さから見ても、診療業務に流用できる制度ではありません。

41条の2の高度プロフェッショナル制度も同様です。対象業務は「高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるもの」として省令で定める業務に限られ、労使委員会の決議、本人の書面同意、年間104日以上かつ4週4日以上の休日、健康管理時間の把握といった措置が条件です。省令が挙げる対象業務に医師の診療業務はありません。

つまり、時間管理を外す制度は医師の診療業務に用意されていません。年俸の内訳を分解するとき、適用除外の層に入りうるのは実質的には41条2号(管理監督者)と41条3号(許可を受けた宿日直)の2つだと考えて差し支えありません。

宿日直許可がある場合の切り分け

医師の年俸には宿日直の対価が混ざります。労基法41条3号は「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」を適用除外とし、許可の細目は厚生労働省労働基準局長通達「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日基発0701第8号)が定めています。

同通達は、宿日直勤務が通常の労働の継続延長である場合には許可すべきものでないとし、許可の条件として、通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること、特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務に限られること、宿直については夜間に十分な睡眠がとり得るものであることを挙げています。

実務上の分かれ目はここです。許可があること自体が、宿日直の全時間を無給にしてよいという意味ではありません。同通達は、宿日直中に通常の勤務時間と同態様の業務に従事した時間については、37条の割増賃金が支払われるよう取り扱うこととしています。救急対応で実際に診療した時間、手術に入った時間は、許可の有無とは別に評価されます。年俸の内訳を確認するときは、宿日直手当が「何に対する対価か」を必ず区別してください。

複数の勤務先を持つ医師には、もう一段の論点があります。宿日直許可そのものは事業場単位の制度で、基発0701第8号 記3は「宿日直の許可は、一つの病院、診療所等において、所属診療科、職種、時間帯、業務の種類等を限って与えることができるものであること」としています。一方で労働時間の計算は勤務先をまたぎます。38条1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めており、医師の上限規制でも、個人に対する上限は副業・兼業先の労働時間を通算して判断されます。常勤先の年俸と非常勤先の報酬を別々の箱として考えていると、実際の拘束の総量が見えなくなります。年俸の内訳を確認するときは、外勤・当直バイトを含めた1週間の実像を並べたうえで、どこがどの層に対応しているのかを見るのが確実です。

上限規制との関係を混同しない

2024年4月から、医師には時間外・休日労働の上限について特例が適用されています。厚生労働省の整理は、上限を二段構えで置いています。まず各医療機関における上限、すなわち36協定で定める特別延長時間の上限は、A水準・連携B水準が年960時間、B水準・C水準が年1,860時間です。そのうえで、個人に対する上限として、副業・兼業先の労働時間も通算した枠が別に置かれており、A水準が年960時間、B水準・連携B水準・C水準が年1,860時間とされています。連携B水準の1,860時間はこの通算後の個人単位の枠であって、勤務先1つあたりの上限ではありません。連携B先で常勤する医師にとって、その医療機関における上限は960時間です。一般労働者の特別条項の上限は労基法36条5項により年720時間です。

図5: 一般労働者720時間、A水準・連携B水準960時間(各医療機関における上限)、B水準・C水準1,860時間、および連携Bは通算で1,860時間という年間上限の比較グラフ

注意したいのは、この上限規制が割増賃金の話とは別の軸だという点です。上限は「どこまで働かせてよいか」を定めるもので、働いた分の対価を減らす根拠ではありません。1,860時間まで許されている医療機関で1,800時間働いたなら、その1,800時間分の割増賃金が発生します。「上限の範囲内だから年俸に含まれる」という説明は、二つの制度を混ぜています。

関連する読み物として、当直の相場から自分の時間単価を測る当直バイトの単価相場、健康確保の側から時間数を見る医師の過労死ラインと基準、手取りベースで年俸を評価する勤務医の年収と手取りも併せて確認すると、年俸の評価軸が揃います。

自分の年俸の内訳を確認する手順

ここまでを行動に落とします。争うかどうかを決める前に、まず内訳を可視化するのが順番です。

図6: 労働条件通知書の取得から労基署・弁護士への相談までを8段階で並べた確認手順

労働条件通知書と賃金規程を取り寄せ、年俸の内訳の記載を探します。時間外分があるなら「何時間分でいくらか」を確認します。次に超過分を別途支払う旨の定めがあるか、実際に支払われた月があるかを見ます。給与明細を3か月分並べると、支給項目の実態が見えます。並行して、打刻記録、電子カルテのログイン履歴、当直表といった勤務時間を裏づける記録を手元に確保しておきます。宿日直許可の有無と、許可の範囲外の業務に当たる時間を切り分けます。就業規則に自分を適用除外とする条項がないかも確認します。

交渉の場面では、内訳の開示を求めることが最初の一歩になります。労基法15条1項は、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めており、賃金および労働時間に関する事項は省令で定める方法により明示することが求められています。内訳を尋ねるのは、契約の相手方として当然の確認です。「何時間分がいくらですか」という質問の形にすると、感情的な対立を避けながら、争点の所在を確かめられます。

時効にも触れておきます。115条により賃金請求権は5年で時効消滅しますが、附則143条3項が同条を読み替えており、退職手当を除く賃金の請求権は当分の間3年です。また114条は、裁判所が37条違反の使用者に対し、労働者の請求により未払金と同額の付加金の支払を命じることができると定めています。この請求について114条ただし書は違反のあった時から5年以内としていますが、附則143条2項が同ただし書の「五年」を当分の間「三年」と読み替えるため、付加金もいまは3年以内です。賃金請求権と付加金で、経過措置の扱いは揃っています。記録の確保を先に置いたのは、この期間が動いているからです。

なお、当直明け勤務の扱いのように、時間の切り分けが争点になる論点は隣接しています。

まとめ: 年俸を1本の数字として見ない

年俸制という呼称は、37条の義務を消しません。消えないことを前提に、年俸を所定内賃金・定額残業代・宿日直手当・適用除外の4層に分けて、どの層が根拠を持っていて、どの層が空欄なのかを確かめる。これが交渉と請求の共通の土台になります。定額残業代が有効に定められていればその時間数までは追加請求できず、有効要件を欠けば年俸全額が計算基礎になる。管理監督者かどうかは肩書きではなく実態で決まる。宿日直許可があっても通常の業務に従事した時間は別に評価される。ここまでを押さえたうえで、個別の事案の判断は労働基準監督署または弁護士に相談してください。条文の建付けを知っているだけで、相談の解像度は変わります。