「研究の道に進んだら、もう臨床には戻れないのではないか」——研究医のキャリアを考える医師の多くが、まずこの不安にぶつかります。大学院進学中の給料はどこから出るのか、研究費は誰が管理するのか、専門医資格の取得は何年遅れるのか。こうした具体的な情報がまとまって示されないまま、噂や先輩医師の断片的な体験談だけで判断を迫られることが、不安の正体になっているケースは少なくありません。実際の制度を確認すると、臨床医と研究医のトラックが分かれる場面は一度きりではなく、初期研修後と専門研修の途中の二か所にあり、そのどちらにも臨床へ戻るための仕組みが用意されています。この記事では、大学院進学のタイミング、研究に専念する期間中の身分と給与の扱い、科研費が実際にどこへ交付されるのか、そして業績がその後の臨床復帰やポスト獲得にどう影響するかを、日本専門医機構と文部科学省・日本学術振興会の一次資料に沿って整理します。研究医の道を勧めるものでも、遠ざけるものでもなく、判断材料としての制度の骨格を示すことが目的です。
臨床医と研究医のトラックは、一度で分かれるわけではない
結論から述べます。医師のキャリアが臨床医と研究医のトラックに分岐する場面は、制度上、二か所に分けて考えることができます。一つ目は初期臨床研修(2年間)の途中、二つ目は専門研修の中盤以降です。医師法第16条の2は、診療に従事しようとする医師について「二年以上、都道府県知事の指定する病院又は外国の病院で厚生労働大臣の指定するものにおいて、臨床研修を受けなければならない」と定めており、この2年間はすべての医師に共通する土台です。厚生労働省の資料が示す標準的な養成過程では、医学部入学がおおむね18歳、医師国家試験合格が24歳前後、そこから2年間の臨床研修を経て26歳前後で臨床研修を修了し、以後は専門研修と生涯教育が続く流れになっています。研究医のキャリアはこの土台の外側にあるのではなく、初期研修と専門研修という既存の枠組みの中に、選択肢として組み込まれています。
一つ目の分岐点は、初期研修2年目の選択研修期間に基礎医学の教室へ配属される「基礎研究医プログラム」です。二つ目の分岐点は、専門研修(3年目以降)の途中で大学院に進学し、臨床と研究を並行して行う「臨床研究医コース」です。どちらの制度も、一定の業績要件を満たせば専門医資格や学位という形で臨床の世界に合流できるよう設計されており、分岐した先が行き止まりになる設計にはなっていません(図1)。
日本専門医機構が2020年9月に医師専門研修部会へ提出した資料は、この制度が作られた背景を「臨床医学領域の研究に関して、専門研修後の大学院進学、アカデミアへの自発的就職に支えられているものの学会・専攻医ともインセンティブに乏しい」と説明しています。同じ資料は、専門医の診療科偏在・地域偏在をめぐる議論が就労時間のタイムスタディに基づいて進められてきた一方で、研究力低下への対策や医学教育の変革という視点はそこに乏しかったとも指摘しています。つまり、研究医のキャリアがこれまで曖昧で不安の残るものだったのは、医師個人の意欲だけに委ねられ、臨床医の需給計画そのものが研究・教育というもう一つの役割を十分に組み込んでこなかったことが背景にあるといえます。以下では、この二つの分岐点それぞれについて、進学のタイミング、身分・給与の扱い、研究費の仕組み、業績が与える影響、両立の難しさの順に見ていきます。
分岐点1: 初期研修中の基礎配属、身分は途切れない
初期研修2年目に基礎医学の教室へ配属される仕組みが「基礎研究医プログラム」です。厚生労働省の資料によれば、我が国の国際競争力が基礎医学論文数の観点からも相対的に低下傾向にあるとの認識のもと、基礎医学系の大学院博士課程入学者に占める医師免許取得者の割合を高める目的で、2022年度(令和4年度)の研修から募集が始まりました。対象は基礎医学に意欲があり、基礎医学系の教室に所属する学生で、選択研修期間中に16週以上24週未満、基礎医学の教室に所属する期間を用意することが設置要件です。定員は一大学につき原則1名で、指導体制や研究費・論文実績などの基準をすべて満たす施設は最大5名まで、基準を満たさない項目が3つ以上ある施設は0名となります。
ここで重要なのは、この期間の身分です。基礎医学教室に所属する期間は、初期研修医としての身分のまま扱われます。基幹型臨床研修病院である大学病院(本院に限る)に採用され、基礎医学研修を開始する前に臨床研修の到達目標の到達度評価を行い、修了が見込まれることを確認したうえで基礎医学教室に編入する流れであり、給与や社会保険といった身分保障が途切れるわけではありません。厚生労働省のQ&Aでは、この期間に所属する身分について「正規の大学院生の身分でなく、研究生等といった身分で所属することも可能である。ただし、臨床研修修了後においては、大学院生の身分となることが望ましい」と回答されており、初期研修中はあくまで研修医としての立場が主で、大学院生としての学籍は必須ではない設計になっています。
指導体制についても基準が定められています。基礎系の教室を通じて基礎医学研究歴7年以上の複数の指導者(医師)によるキャリア支援体制が確保されていること、年間受託している基礎医学分野の科研費とAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)対象事業の予算の合計が8,000万円を超えていることなどが、施設側に求められる基準です。研修修了後は、作成した基礎医学の論文を4年以内を目処に研修管理委員会へ提出することが求められますが、これは「臨床研修医としての立場を保ったまま、研究に触れる機会を組み込む」制度であり、初期研修そのものから離脱するものではない点が、通常の大学院進学とは異なります。
制度化されたのは2022年度研修からと比較的新しく、定員も一大学あたり原則1名からと小規模であるため、初期研修の段階で基礎配属を経験できる医師は今のところ限られています。多くの医師にとって、大学院進学という選択がより具体的な現実味を帯びてくるのは、次に見る専門研修の途中の分岐点です(図2)。
分岐点2: 専門研修中の大学院進学、身分と給与の実際
より本格的に研究へ時間を割く分岐点が、専門研修の途中に用意されている「臨床研究医コース」です。日本専門医機構が2020年9月18日に理事会承認し、2024年10月18日まで複数回改正を重ねてきた「臨床研究医コース整備指針」によれば、対象は2年間の初期臨床研修を修了した専攻医で、コース開始後1年間は「臨床フェーズ」として責任医療機関で集中的に臨床研鑽を積みます。この1年間は、通常のプログラム制専攻医と同様の給与および社会保険などの身分保障を受けます。
2年目以降は「研究フェーズ」に移り、大学院などに所属して臨床医学・基礎医学・社会医学の研究を行います。研究へのエフォート(業務時間の配分)は4年間の平均で50%以上とすることが求められ、期間ごとに変更することも可能です。最低5年間で特定の基本領域の専門医資格と大学院での学位を、両方取得することを目標とします(領域の方針によっては6年または7年制のコース設定も可能です)。
コースの定員は基本19領域それぞれに最低1枠を確保したうえで、残りは応募者総数に占める割合で各領域に配分される仕組みで、2021年度の40名から開始し、応募状況を見ながら増員を検討するとされています。募集は通常の専攻医の一般公募より1か月早い9月をめどに始まり、コースに不採用となった場合は通常の専門研修プログラムで研修を続けられるため、応募したこと自体がその後のキャリアを縛るものではありません。また、研究の遂行のため国内外の他の研究施設に留学する必要がある場合には、その期間を研究期間に含めることができるとされており、留学がコースからの離脱を意味するわけでもありません。一方で、専攻医が途中でコースから離脱した場合には、特段の理由がない限り、その専攻医が所属していた責任医療機関は向後3年間、新たに研究医コースを開始できなくなるという規定もあり、個人の離脱が所属先の制度利用に影響する点は留意が必要です。研究フェーズにおける身分の扱いは、指針の中で明確に定められています。「社会人大学院制度(大学院に入学しつつ専攻医・医員としての給与を受ける)かあるいはこれに準じた責任医療機関の規定に従って、給与、社会保険などの身分保証を受けることができる」というのが原文の記載です。つまり、大学院に「学生」として籍を置く一方で、雇用契約そのものは医療機関の職員(専攻医・医員、あるいは有期雇用の教員職)として結ぶという、二重の立場を前提にした制度設計になっています。
この「有期雇用の教員職」という受け皿の実例は、各大学の就業規則に見ることができます。国立大学法人京都大学の「特定有期雇用教職員就業規則」では、「特定病院助教」という区分が定義されており、その契約期間は「10年以内とし、通算10年の期間を限度として、更新することができる」と定められています(第15条の2)。研究に専念する期間中の身分は、大学院生としての学籍と、有期雇用の病院助教等としての雇用契約という、性質の異なる二つの立場が組み合わさって成り立っているのが実務上の姿です。どちらの立場に基づいて給与・社会保険料が算定されているのか、契約期間の上限がいつ来るのかは、雇用契約の主体(大学病院か、大学院と連携する別の枠組みか)によって変わり得るため、コースに参加する前に、責任医療機関側にどちらの立場で身分保障を受けるのかを具体的に確認しておくことが、身分の不安を減らす第一歩になります。
専門医資格を取得するタイミングにも、この設計は影響します。通常のプログラム制であれば、初期研修修了後3〜5年の専門研修を終えた時点で専門医資格を取得できるのに対し、臨床研究医コースは同じカリキュラム制の専門研修と大学院での研究を並行させながら、最低5年、領域によっては6年または7年かけて専門医資格と学位の両方を取得する設計になっています。研究フェーズを選ぶということは、専門医資格を得る時期そのものを、通常のプログラム制より数年遅らせる判断でもあるということです(図3)。
身分と給与の枠組みが分かったところで、次に確認しておきたいのが、大学院での研究そのものを支える資金、すなわち研究費の出どころです。研究医のキャリアで最も誤解されやすいのが、この研究費と自分の生活費の関係だといえます。
科研費は、研究医個人の口座には振り込まれない
大学院に進学して研究に取り組む際、研究費として真っ先に名前が挙がるのが科学研究費助成事業(科研費)です。文部科学省・日本学術振興会が公表する「科研費ハンドブック(研究者用)2024年度版」によれば、科研費の管理や諸手続は「全て研究機関が行う」ことになっており、これを「機関管理」と呼びます。理由は二つ挙げられています。一つは研究者の負担軽減で、研究者は研究に専念できるようにするためです。もう一つは意図せぬルール違反の防止で、経理事務に精通していない研究者による「うっかりミス」を防ぐためです。研究計画そのものは研究者個人の自由な発想に基づくものですが、交付されたお金の経理・執行は、研究者本人ではなく所属研究機関が担う仕組みになっています。
この機関管理という建て付けは、研究費の使い道にも表れています。直接経費は物品の購入費、旅費、人件費・謝金など、採択された研究課題の遂行に必要な経費に幅広く使うことができますが、同ハンドブックは直接経費から支出が認められない経費として「研究代表者又は研究分担者の人件費・謝金」を明記しています。つまり、科研費の直接経費を、研究を行う医師自身の給与にそのまま充てることは原則としてできません。一方で、直接経費に対して一定比率で交付される間接経費(直接経費の30%相当額)は、研究機関の研究環境整備のための資金と位置づけられており、人件費として使うことも禁止されていません。研究医個人の生活費は、科研費そのものではなく、前述した専攻医・医員や特任助教などの雇用契約に基づく給与から支払われる、という切り分けになります。
科研費を受けた側の義務も、機関を経由する設計になっています。研究者は研究を完了したときや年度が終了したときに「実績報告」を、研究期間が終了したときに「研究成果報告書」を提出する義務を負い、これらは国立情報学研究所の「科学研究費助成事業データベース(KAKEN)」を通じて公開されます。また研究代表者・研究分担者は、所属する研究機関が実施する研究倫理教育やコンプライアンス教育を受講した上で研究活動を行うことが求められており、交付申請・支払請求のたびにその受講状況が確認されます。研究の中身は個人の発想に基づく一方で、手続きと報告の経路は一貫して所属機関を通す、という構造がここでも繰り返されています。
もう一つ押さえておきたいのが応募資格です。科研費に応募するには、研究機関に「当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含む者」として所属し、その研究機関の研究活動に実際に従事していて、かつ「大学院生等の学生でないこと」という三つの要件を満たす必要があります。最後の要件には「所属する研究機関において研究活動を行うことを本務とする職に就いている者(例:大学教員や企業等の研究者など)で、学生の身分も有する場合を除く」という但し書きが付いています。つまり、純粋に大学院生という身分だけでは、研究代表者として科研費に応募することは原則できません。臨床研究医コースの研究フェーズが、大学院生としての籍と専攻医・医員あるいは特任助教等としての雇用の両方を前提にしているのは、この応募資格要件とも整合的な設計だといえます(図4)。
業績が、その後の臨床復帰やポスト獲得にどう影響するか
分岐した先で何を積み上げれば臨床の世界に合流できるのか、その基準も指針の中に具体的に示されています。臨床研究医コースの修了要件は、S.C.I(Science Citation Index)のついた英文雑誌にFirst authorとして2本以上の論文を発表することです。ただし1本については、英文による症例報告か、和文による臨床研究に関する論文で代用することが認められています。この業績要件を満たし、かつカリキュラム制で当該基本領域の専門医資格を取得すれば、コース修了までに専門医資格と大学院の学位を両方手にすることができます。専門医資格と学位という二つの実績が、その後アカデミアで臨床教員(前述の特定病院助教等)としてポストを得る際の評価の土台になります。基礎研究医プログラムについても、臨床研修後4年以内を目処に基礎医学の論文を研修管理委員会へ提出することが修了要件として定められており、初期研修の段階から論文実績を積む道筋が制度化されています。
こうした「臨床の身分を保ったまま研究業績を積む」というルートを選ぶ医師は、統計の上でも増加傾向にあります。科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の「科学技術指標2021」が文部科学省「学校基本調査報告書」の集計を基に示すところによれば、博士課程入学者に占める社会人の割合は、2003年度の21.7%から2020年度には43.2%へと、約2倍に増加しました。分野別に見ると、この伸びを牽引しているのが「保健」分野です。2020年度時点で社会人の博士課程在籍者は全分野で約2.0万人に達し、そのうち保健分野が全体の約6割を占めています。同じ資料は、社会人以外(在学のみ)の保健分野の博士課程在籍者が2000年度から2008年度にかけて大きく減少する一方、社会人の保健分野在籍者は長期的に増加を続けてきたとも指摘しており、両者のグラフの向きは対照的です。研究医のキャリアというと「臨床を離れて研究に専念する」というイメージを持たれがちですが、実際の主流は、臨床の身分・収入を保ったまま大学院に籍を置く「社会人大学院」というルートであることが、この数字から読み取れます(図5)。
言い換えると、業績を積む場所は「臨床から切り離された研究室」ではなく、「臨床の勤務先と地続きの大学院・大学病院」であるケースが大半だということです。臨床研究医コースが、大学院と責任医療機関という二つの所属を前提に設計されているのも、この社会人大学院という主流のルートに沿った構造だと理解すると位置づけやすくなります。専門医資格の更新にも、この地続きの構造は影響します。たとえば内科領域の専門医更新基準は、勤務実態の証明や診療実績の証明に加えて、5年間で合計50単位(診療実績相当の10単位を含む)の取得を求めており、臨床業務から完全に離れた期間が長いほど、更新に必要な実績を満たしにくくなります。研究フェーズであってもエフォート50%未満は臨床業務に充てる設計になっているのは、研究業績と同時に、専門医資格を維持するための臨床実績も並行して積み上げる必要があるからです。
臨床と研究の両立が難しい理由、勤務時間の重複
ここまで見てきた制度は、いずれも「臨床と研究を両立させる」設計を前提にしています。しかし、その両立自体が容易だという意味ではありません。臨床研究医コースの研究フェーズで求められる「研究へのエフォート4年間平均50%以上」という基準は、裏を返せば残り50%未満は臨床業務に充てることが前提になっているということです。研究に専念できる時間は、最初から上限が決まっています。基礎研究医プログラムの基礎配属が16週以上24週未満という限られた期間で完結するのに対し、臨床研究医コースの研究フェーズは4年間にわたって臨床業務との両立が続くため、重なり合う期間の長さそのものが二つの制度で大きく異なります。
さらに整備指針では、研究フェーズを含めて「同一の医療機関に所属することも可能である」と定められており、実務上は多くの専攻医が臨床フェーズと同じ責任医療機関に研究フェーズも所属し続けます。同じ病院に籍を置いたまま研究と臨床を並行する場合、外来診療や当直、急患対応といった臨床業務が、研究のために確保していた時間に食い込む場面は避けにくくなります。エフォートの配分はあくまで計画上の目安であり、臨床業務の呼び出しが研究時間と重なるかどうかは、日々の勤務シフトの組み方に左右されます。
加えて、地域枠の医師などが本コースへ応募する場合には、あらかじめ従事要件を課している自治体や大学と、研修期間の取扱いについて相談し、了解を得ることが指針で求められています。地域医療に従事する義務を負っている医師にとっては、研究フェーズを選ぶかどうかが、自分だけの判断では完結しない場面もあるということです。
両立の難しさは、専門医資格の維持という形でも表れます。内科領域の更新基準では、専門研修修了後も5年ごとに勤務実態の証明・診療実績の証明・更新単位の取得が求められ、国内外の研究留学などの特定の理由で更新単位が取得できない場合には、所定の申請により最大1年間の休止(更新延長)が認められています。裏を返せば、休止の申請をしないまま研究に専念して臨床実績が不足すれば、専門医資格そのものを一時的に失うリスクがあるということです。臨床と研究の両立が制度上「不可能」とされているわけではありませんが、勤務時間という有限の資源を二つの業務で分け合う構造そのものは変わらず、両立の実感も、資格維持のための手続きの負担も、個々の勤務先の体制と本人の計画性に大きく左右されます(図6)。
まとめ 分岐点は二回、合流点も制度化されている
臨床医と研究医のキャリアトラックは、初期研修2年目の基礎配属と、専門研修中の大学院進学という二か所で分岐します。どちらも、業績要件を満たせば専門医資格や学位という形で臨床の世界に合流できるよう制度化されており、一度分岐したら戻れないという単純な構図ではありません。判断の分かれ目になるのは、研究に専念する期間中の身分と給与がどの制度に基づいているか(通常の専攻医給与か、社会人大学院制度か、有期雇用の教員職か)を、コースに参加する前にどれだけ具体的に確認できているかです。
具体的には、研究フェーズ中の雇用契約書に給与・社会保険の根拠がどう記載されているか、科研費の直接経費と自分の生活費が別会計であることを踏まえて生活設計をどう組むか、専門医資格の取得目標時期が通常のプログラム制よりどれだけ後ろ倒しになるかを、コースに応募する前、あるいは責任医療機関を選ぶ前の段階で、指導医や事務担当者に個別に確認しておくことが望ましいでしょう。専門医資格の更新時期が研究フェーズと重なる場合は、更新の休止(更新延長)手続きが必要になるかどうかも、あわせて見通しておくと安心です。
キャリアの分岐点をどう評価するかという考え方自体は、研究医に限った話ではありません。収入構造や労働時間の上限、専門医資格の維持、それまでのキャリアへの可逆性という軸で進路を比較する視点は、別記事の医局を辞めた後のキャリア、5進路を4軸で比較するでも整理していますので、あわせて確認してみてください。研究医という選択肢は、臨床医としての道を手放すことではなく、二つの分岐点それぞれで身分・業績・時間配分の条件を確認しながら選び取っていく、制度に沿った進路のひとつです。
