基本領域の専門研修が終わりに近づくと、先輩や指導医から「次はどのサブスペにするのか」と聞かれます。ところが調べ始めると、領域の数も名前も数年前の情報と噛み合わず、連動研修が使えるのかどうかも医局の中で説が分かれている、という状態に行き当たります。この記事は、興味や適性を比べる前に踏むべき手順として、制度がどう組まれているかだけで選べる範囲がかなり絞られる、という点を一次資料で追いかけます。領域ごとの優劣や「有望な領域」の話は扱いません。

結論: 選択肢は興味の前に制度で決まっている

サブスペシャルティ選びは、5つの関門を上から順に通した結果として残ったものを、最後に興味と適性で比べる作業です。関門は、①その基本領域からその領域へ進めるか(接続)、②連動研修が使えるか(研修方式)、③通える範囲に認定研修施設と指導医がいるか(施設)、④基本領域とサブスペの二重更新を5年ごとに回せるか(更新)、⑤取得後に標榜や広告で使える位置づけがあるか(出口)の5つです。

この順番が重要なのは、下の関門ほど後から変えにくいためです。興味は勤務の中で育てられますが、「通える範囲に研修施設がない」「その領域は連動研修が使えないので修了後にさらに2年以上が要る」といった条件は、個人の努力では動きません。

図1: 二段階制度の骨組みと3つの研修方式(概念図)

前提としてもう一つ。サブスペシャルティの制度は現在も移行期にあり、領域の区分も名称も改定が続いています。直近でも動きがありました。日本専門医機構は2026年6月26日付のお知らせで、「2026年6月19日開催の第6期第25回理事会において、次の領域が認定され、同領域のサブスペシャルティ領域専門研修制度整備基準が承認されました」として「総合内科領域」を挙げています。同じ6月19日の理事会では細則第二版などの規程も改訂され、6月24日付でその告知が出ています。機構サイトの「サブスペシャルティ領域専門研修制度整備基準」の欄には消化器内科から糖尿病内科まで24の領域名が並んでおり、ここに総合内科領域が加わる形です。この記事に書ける確定事項は「制度の骨組み」までで、個々の領域の最新の扱いは、必ず機構の領域一覧と当該領域学会の整備基準を直接確認してください。

1. どの基本領域からどの領域に進めるか(接続)

新専門医制度は二段階制です。日本専門医機構の「サブスペシャルティ領域専門研修細則 第二版」(2023年12月15日改定、2026年6月19日一部改訂)は、サブスペシャルティ領域の研修をする医師やその専門医は「その領域に連携する基本領域専門医の資格を有することが前提になる」と書いています。同細則は、サブスペシャルティ領域が「基本領域を指定して、その専門医を専攻医として受け入れることができる」とも定めており、受け入れる基本領域は各領域の専攻医受け入れ方針に明示されます。

つまり、接続は領域側が決めています。自分の基本領域が受け入れ対象に入っていなければ、その領域は最初から選択肢ではありません。

領域と基本領域の関係は、専門医の構成比で3つに分類されています。同細則によれば、ある領域の専門医の70%以上が特定の基本領域専門医で構成される場合がグループA、50%以上70%未満がグループB、最大となる基本領域が30%以上50%未満の場合がグループCです。さらに、ある基本領域の専門医がその領域の専門医の10%未満を占める場合、その基本領域は「そのサブスペシャルティ領域の専門医制度運営に関与する必要はないものとする」とされています。

この分類は運営組織の構成を決めるためのものですが、選ぶ側にとっても手がかりになります。グループAに近い領域は事実上ひとつの基本領域からの進路で、複数の基本領域が関与する横断的な領域は、同じ領域に別の基本領域から到達している同僚がいるということです。ただし後者では、出身基本領域によらず全員が研修する必須項目と、選択的に研修する選択項目が分けて設計されることになっており、経路によって中身が完全に同じとは限りません。

図2: 機構が平成30年5月に認定した23領域を整理した結果(領域名は24件)

領域の全体像を最初に整理したのは、厚生労働省「サブスペシャルティ領域の在り方に関するワーキンググループ報告書」(令和2年3月5日)です。同報告書は、機構が平成30年5月に連動研修を行う領域として内科15領域・外科6領域・放射線科2領域の計23領域を認定していた経緯を記した上で、これを「連動研修を行い得る領域」「連動研修を行わない領域」「少なくとも1つのサブスペシャルティ領域を修得した後に研修を行う領域」の3つに整理するのが妥当だとしました。図2はその整理です。整理後に並ぶ領域名は24件になります。内分泌代謝と糖尿病が「内分泌代謝・糖尿病内科」「内分泌代謝内科」「糖尿病内科」の3つに分かれるためで、認定されていた領域の数が増えたわけではありません。

もう一つ、同じ「機構が関わる領域」の中に段差があることも知っておくと情報の読み方が変わります。細則第二版は、機構が自ら指定して認定する領域(カテゴリー1)、基本領域サブスペシャルティ領域連絡協議会の申請により機構が認定する領域(カテゴリー2)、連絡協議会が認定し機構が承認する領域(カテゴリー3)という3つの経路を定めています。さらに、基本領域ごとに独自に認定できる領域数の上限を設ける設計になっており、無制限に増える建て方にはなっていません。候補の領域がどの経路のものかで、整備基準の整い方や情報の出方が違います。学会独自の認定資格は、これらとはさらに別の層です。

なお同報告書は、専門医1つとサブスペシャルティ1つ程度の取得で地域医療の中で十分に幅広い診療が行えるような領域設定が妥当だとも述べています。個人が取れる資格数の上限も置かれていますが、その根拠は細則ではなく認定・更新の整備指針の側にあります。機構認定サブスペシャルティ領域「専門医の認定・更新」に関する整備指針は、機構専門医となった医師がその後に他のサブスペシャルティ領域の専門医資格を取得すること(ダブルボード)を「妨げない」としたうえで、「原則として2領域の機構専門医取得を上限とする」と定めています。

ここは資料の版を取り違えやすい箇所です。細則側にあった取得数の上限は、2026年6月19日の一部改訂で削除されました。改訂後の細則7.14「複数の専門医資格取得」は「当機構は複数のサブスペシャルティ領域専門医資格の取得を妨げない」と述べるだけで、2023年12月15日改定版にあった7.14.1「個人の専門医資格取得数の上限」の条文は現行版の本文に置かれていません。つまり、資格を積み増す方向の設計にはなっていないという整理自体は、整備指針のダブルボード条項として現在も有効で、根拠がどの文書にあるかが移っただけです。なお、領域側の数の上限(基本領域別サブスペシャルティ領域数の上限)は改訂後の細則4.3に引き続き置かれています。

2. 連動研修が可能な領域とそうでない領域(研修方式)

ここが、選択肢ごとに必要年数を最も大きく変える関門です。細則第二版は研修方式を3つに分けています。

連動研修方式は、基本領域研修との同時並行期間を含めて3年以上が原則です。開始できるのは「基本領域の専門研修が実質的に1年以上行われ、順調に研修が進めば、基本領域の専門研修を修了する見込みのある場合」とされています。この方式では基本領域での診療経験がサブスペシャルティ領域の経験でもあると位置づけられ、一定数を領域の研修内容として認めることができます。

通常研修方式は2年以上が原則で、開始は基本領域の専門研修修了後です。ここが見落とされやすい点ですが、同細則は通常研修方式について「基本領域における診療経験はサブスペシャルティ領域の研修内容として認めない」と明記しています。基本領域3年のあとに、別に2年以上が積み上がる構造です。

補完研修方式は、先行する第1サブスペシャルティ領域の研修との同時並行期間を含めて3年以上が原則で、第1サブスペの経験を一部算入できます。開始は基本領域修了後で、第1サブスペの研修が実質1年以上進み修了見込みがある場合です。

図3: 連動と非連動で取得時期がどれだけ動くか(概念図)

どの領域がどの方式かは、2020年のWG報告書の整理が出発点になります。同報告書は、内科では循環器・呼吸器・血液・脳神経内科・腎臓・リウマチについて、全都道府県に研修施設があり一定程度の症例を経験できること、病院で標榜されている割合が高いこと、初診患者が多く受診することを理由に連動研修を行い得る領域とするのが適当とし、消化器病・消化器内視鏡・肝臓は包含関係にあるため消化器内科に集約、消化器内視鏡と肝臓は1領域修得後に研修する領域が適当としました。内分泌代謝と糖尿病も内分泌代謝・糖尿病内科に集約する整理です。一方、アレルギー・感染症・老年病・がん薬物療法は横断的分野で取得年次が比較的遅い実態があるため、連動研修を行わない領域とするのが適当とされました。外科では消化器外科・呼吸器外科・心臓血管外科・小児外科・乳腺が連動研修を行い得る領域、内分泌外科は複数の診療科が診療している実態や研修施設の整備状況から連動研修を行わない領域が適当とされています。

ただし、方式は一度で確定したわけではありません。日本外科学会は「新専門医制度における外科サブスペシャルティ6領域との連動研修について」(2019年4月1日)で、2019年3月22日の医道審議会医師分科会医師専門研修部会において、基盤領域における研修の質の担保への疑義や、連動研修によって一部医療機関に専攻医が集中するのではないかという懸念が示され、2019年4月からの連動研修の認定が見送られたと説明しています。同学会はその上で、連動研修が正式に認定された時点で過去の研修履歴やNCDデータなどに基づき遡って認定する柔軟な対応を採るとしていました。制度の側が数年単位で動いてきた領域だという前提で情報を扱う必要があります。

方式と並んで効くのが研修方略、いわゆるプログラム制とカリキュラム制の別です。細則第二版は、プログラム制を「専門研修の内容を発達段階に応じて計画した専門研修プログラムを用いて研修を行う」もの、カリキュラム制を専門研修施設に所属して定められた項目を逐次修了していくものとして分けています。カリキュラム制では、症例や手技の一定期間への過剰な登録を防ぐために、一定期間に登録できる件数の上限を設ける制度(いわゆるCAP制)による研修管理が要るとされています。そして両方を採用する領域について、同細則は「研修カリキュラム制が研修プログラム制に要する期間より短期間になることは認めない」と明記しています。カリキュラム制は勤務の都合に合わせやすい代わりに、期間が短縮される方向では働きません。

修了後にも期限があります。同細則は研修の修了認定の有効期限を5年が原則とし、修了または修了見込みで基本領域専門医資格を有する者が資格認定試験の受験資格を得ると定めています。原則として5年以内に試験に合格しなければならず、やむを得ない事情がある場合は領域の専門医検討委員会がその理由を精査し機構が承認した場合に限り有効期限を延長できるとされています。研修を終えた後に受験を先延ばしにできる幅は無限ではありません。

実務上の確認先は3つです。機構の領域一覧(その領域が現在どの区分か)、当該領域学会の専門研修制度整備基準(最短・最長期間と経験要件)、そして自分が所属する基本領域のプログラムです。WG報告書は、基本領域研修中に連動研修を行う場合、基本領域を修了するまでの期間は「基本領域のプログラムで事前に定められた研修施設において研修を行うべきである」としています。連動を使うつもりなら、基本領域のプログラム側で行ける施設が決まっているという制約が先に効きます。

3. 研修施設の要件と地域分布(施設)

制度上どれだけ道が開いていても、通える範囲に認定研修施設と指導医がいなければ研修は始まりません。

細則第二版は、研修施設を「専門研修カリキュラムに基づいた研修が可能で、指導医が充足し、指導体制の整った施設として専門医検討委員会が認定した施設」と定義しています。加えて、専攻医を受け入れる際には「基本領域の専攻医数や他のサブスペシャルティ領域の研修を担当する指導医数、また専攻医が研修において経験する症例数に不足が生じないよう確認を行わねばならない」と書いています。つまり施設の側にも受け入れ余力の上限があり、名簿に載っているから必ず入れるとは限りません。

領域認定の段階でも地域要件が課されています。細則初版(2020年5月)の認定基準は、専門研修施設数・指導医数について「すべての都道府県に研修施設が1施設以上あり、かつ各研修施設に指導医が要件に応じている」こと、これを満たせない場合は同じ地域ブロックで研修体制が確立でき3年以内に満たす具体的見通しがつくことを必須要件としていました。全国配置が領域認定の条件に組み込まれているという設計です。

配置の点検も制度に組み込まれています。細則第二版は、各領域の専門医検討委員会が専門医や指導医、研修施設の地域配置などについて点検と評価を行い、5年ごとに専門研修カリキュラムの見直しを行うことを求めています。WG報告書も、認定された領域について少なくとも5年に1度を目安に機構が定期的な見直しを行い、必要に応じて医道審議会から意見・要請を行うべきだとしています。今ある研修施設の配置は、5年単位で変わり得るものとして見ておくのが妥当です。

とはいえ、要件が「各都道府県に1施設以上」である以上、県内に1施設しかない領域も理屈の上では認定され得ます。その場合、その1施設に入れるかどうかが進路そのものになります。

図4: 主たる診療科別の医師数(医療施設従事医師)

母数の目安として、厚生労働省「令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計」統計表5(令和6年12月31日現在)の主たる診療科別の医師数を見ると、医療施設従事医師331,092人のうち、消化器内科(胃腸内科)16,251人、循環器内科13,596人、呼吸器内科7,271人、糖尿病内科(代謝内科)6,168人、脳神経内科5,976人、腎臓内科5,832人、消化器外科(胃腸外科)5,564人、心臓血管外科3,084人、血液内科3,038人、乳腺外科2,329人、呼吸器外科2,119人、小児外科923人です。

これは専門医数ではなく主たる診療科の申告値なので、そのまま研修枠の数に読み替えることはできません。ただ、全国で千人単位の領域と一万人を超える領域では、指導医が身近にいる確率も、転勤先で同じ領域を続けられる確率も、桁が違うという見当はつきます。地方勤務を選ぶ可能性がある場合は、この点を関門3の判断材料に入れておくと後から動きやすくなります。関連して、地域の選択と時期の関係は転職のタイミングと年齢の観点からも整理しておくと判断が早くなります。

4. 更新要件の重さ(二重更新)

サブスペシャルティを取ると、更新は2本立てになります。ここを勤務実態と突き合わせずに取得だけ進めると、数年後に効いてきます。

機構認定サブスペシャルティ領域「専門医の認定・更新」に関する整備指針(2022年4月15日一部改訂)は、機構専門医は5年を原則として更新の申請を各領域学会に行うとし、更新申請資格として「本機構が定める基本領域学会の機構専門医(学会専門医は除く)資格を有していること」を挙げています。基本領域の資格が維持できていなければ、サブスペの更新申請の入口に立てません。さらに、領域学会が定める必須診療経験・実績(症例数、手術手技実施件数、画像診断読影実施件数など)を有することも要件です。認定期間は原則4月1日開始・5年後の3月31日まで、認定料は11,000円(税込)とされています。

基本領域側の負担も具体的です。日本内科学会「内科専門医の認定と更新」によると、内科専門医の更新は5年ごとで、必要単位は合計50単位以上。内訳は診療実績の証明10単位、専門医共通講習3単位以上(最大10)、内科領域講習20単位以上、学術業績・診療以外の活動実績2単位以上(最大10)です。共通講習では医療倫理・感染対策・医療安全の3項目が必須とされています。単位数や内訳は基本領域ごとに異なるため、自分の領域の更新基準で確認が必要です。

図5: 更新の二重負担チェックリスト

確認しておきたいのは、サブスペ側の実績要件が「今の勤務先で満たせるか」です。症例数や手技件数が要件になっている領域では、異動や当直中心の勤務、育児や介護で外来枠が減る時期に、要件を満たせない期間が生じ得ます。要件を満たせないまま期限を越えると、資格そのものが失効します。ここで区別しておきたいのは、猶予や延長のような一時停止と、資格の失効は別の話だという点です。基本領域側で猶予や延長が認められても、それが自動的にサブスペ側の期限を止めるわけではなく、申請はそれぞれの領域に別に出す必要があります。一方で、基本領域の機構専門医資格そのものを失えば、整備指針が更新申請資格として挙げる「本機構が定める基本領域学会の機構専門医(学会専門医は除く)資格を有していること」を満たさなくなるため、サブスペ側の更新申請の入口に立てません。連動するのは失効の側だけで、猶予の側は連動しないという整理になります。猶予・活動休止・失効後の資格回復の使い分けと、領域ごとに違う期間の上限は専門医を更新できないときで個別に扱っています。

研修そのものを止めざるを得ない局面については、認定・更新の整備指針に規定があります。同指針は、海外への留学や勤務、妊娠・出産・育児、病気療養、介護、管理職、災害被災などの特定の理由のために専門研修が困難な場合、申請により専門研修を中断できるとし、6か月までの中断であれば残りの期間に必要な症例等を埋め合わせることで研修期間の延長を要しないとしています。裏を返せば、6か月を超える中断では期間の延長が前提になります。研修期間中にライフイベントが重なる見込みがあるなら、この線引きを知っているかどうかで計画の立て方が変わります。

なお、単位の重複算定や免除の扱いは領域ごとの更新基準に委ねられており、この記事で一律に断定できません。「基本領域とサブスペで同じ講習が両方に使えるか」は、選ぶ前に当該領域学会の更新基準で確認する価値のある論点です。

5. 取得後の実務(標榜・広告・診療報酬)

最後の関門は、取得後にその資格が外向きに機能するかどうかです。ここは資格の価値の評価ではなく、制度上の位置づけの有無という事実の確認です。

厚生労働省「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名(厚生労働大臣に届出がなされた団体の認定するもの)等について」(令和5年2月17日)によると、令和3年10月1日より、医師については日本専門医機構が行う専門性に関する認定を受けた旨が広告できる事項に追加され、同時に厚生労働大臣に届出がなされた団体の認定資格名は広告できる事項から除かれました。ただし令和3年10月1日以前に届出がなされた団体の認定資格名については、一定の場合を除き当分の間なお広告できる経過措置が設定されています。同資料の医師の専門性資格の一覧には、消化器病専門医・循環器専門医・呼吸器専門医・血液専門医・腎臓専門医・神経内科専門医・リウマチ専門医・消化器外科専門医・心臓血管外科専門医・呼吸器外科専門医・小児外科専門医・乳腺専門医・消化器内視鏡専門医・肝臓専門医・がん薬物療法専門医などが並んでいます。

ここから読み取れる実務上の含意は2つです。第一に、学会認定の資格名で広告できている状態は経過措置に依っている部分があり、機構認定への移行が進むかどうかで表示できる名称が変わり得ます。第二に、広告できるかどうかは領域ごとに事情が異なるため、「サブスペを取れば当然に掲げられる」とは言えません。表記のしかたを定めているのは、この資料ではなく医療広告ガイドラインです。厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」は、広告の形態として「専門性の認定を行った団体を明記すること」を求めています。そのうえで、専門性の資格は専門医機構や各関係学術団体が認定するものであることから、「厚生労働省認定○○専門医」等は虚偽広告として取り扱い、単に「○○専門医」との表記も誤解を与えるものとして誇大広告に該当するものとして指導等を行うこと、としています。掲げる場合は認定団体名の併記が前提だということです。

診療報酬との関係は、専門医資格と直結していない点に注意が必要です。緩和ケア関連の点数のように「緩和ケアに係る研修を受けた保険医」といった研修修了を要件とする構成が多く、サブスペの専門医資格そのものが算定要件になっているとは限りません。この対応関係は改定ごとに変わるため、特定の点数を目当てにするなら、その年度の施設基準の通知を直接確認するのが唯一の確認方法です。

なお、診療科名の標榜は医療法の枠組みで定められたものであり、機構の領域名や専門医資格とは別の話です。「その領域名で診療科を掲げられるか」と「その専門医資格を広告できるか」を混同すると、取得後の見込みを読み違えます。

6. 5つの関門を通して残ったものを比べる

ここまでの5つを順に通すと、多くの場合、選択肢は最初に思い浮かべた数より少なくなります。

図6: 選択肢を絞る5つの関門

残った選択肢が1つもない場合、打ち手は2つしかありません。条件を変える(勤務先や地域を動かす、連動を使える時期に間に合わせる)か、領域を変えるかです。どちらも早く気づくほど選べる幅が広いので、基本領域の研修2年目までに関門1〜3の答えを出しておくと動きやすくなります。連動研修を使う前提なら、基本領域の研修が実質1年以上進んだ段階が開始のタイミングになるため、判断の期限は想像より早く来ます。

研究や学位を並行させるかどうかも、同じタイムラインの上で競合します。サブスペの取得時期と大学院の時期が重なる場合、両方を同じ年次に置けるのかは所属と領域の組み合わせ次第です。判断材料は博士号を取るべきかで別に整理しています。

まとめ: 次の一歩

次に手を動かすなら、この3つを順に確認するのが最短です。

第一に、日本専門医機構のサブスペシャルティ領域一覧で、候補の領域が現在どの区分に置かれているかを見ます。区分と名称は改定が続いているため、数年前の資料や口伝えの情報は当てになりません。第二に、その領域学会の専門研修制度整備基準で、受け入れる基本領域、研修方式、最短・最長期間、経験症例や手技の要件、研修施設の一覧を確認します。第三に、更新基準を先に読み、今の勤務実態で5年後に要件を満たせるかを見ます。

制度がここまで細かく決まっているのは、選ぶ側の裁量が小さいという意味ではありません。逆に、決まっている部分を先に読み切れば、残った範囲では迷わずに選べるということです。興味と適性の比較は、その最後の段階で初めて意味を持ちます。